衆院選争点の一つ「選択的夫婦別姓」働く女性の「賛成派」半数以上が「自分は夫婦同姓がいい」
「婚姻関係が続くとも限らない」
衆院選の争点の一つになっている選択的夫婦別姓制度の導入について、働く女性の約7割が制度に賛成していることが、人材サービス「キャリアデザインセンター」（東京都港区）の調査で明らかになりました。ただ、賛成している人のうち、「自分は夫婦同姓がいい」と答えた人が半数以上を占め、別姓を選ぶことに慎重な姿勢もうかがえます。 9月中旬、同社が運営するサイト「女の転職type」の会員の働く女性426人を対象に、「選択的夫婦別姓」に関するアンケート調査を実施。制度導入についての賛否、姓の変更で困ったことなどを尋ねています。
選択的夫婦別姓制度に賛成か反対かを尋ねた質問では、「制度に賛成だが、自分は夫婦同姓がいい」「制度に賛成で、夫婦別姓がいい」と答えた「賛成派」が計65.0％を占め、「制度に反対で、夫婦同姓がいい」という反対派の5.4％を大きく上回る結果となりました。 世代別では、賛成派が20代で65.6％、30代で65.8％、40代で65.2％と大きな差はなかったものの、「制度に賛成だが、自分は夫婦同姓がいい」と答えた割合は、20代で52.2％、30代で42.0％、40代で29.5％となり、未婚者が多い若い世代に夫婦同姓を望む傾向が見られました。 賛成の理由については、「個人の自由を尊重したい」が74.7％で最も多く、「名義変更に手間がかかる」（65.0％）、「婚姻関係が続くとも限らないから」（39.4％）、「改姓すると仕事に影響する」（32.1％）が続きました。「人の名字を名乗ることに違和感があるため」「手続きやサービスが今まで通り受けられるのであれば問題ないと思うから」などのコメントも寄せられました。
「結婚・離婚を知られたくない」
これに対し、選択的夫婦別姓に反対する理由には、「子どもへの影響」（69.6％）、「家族の一体感がなくなる」（56.5％）、「行政手続きの複雑化、コストの増大」（47.8％）などが挙げられました。 姓が変わることで仕事上困ることがあるかとの質問には、「とても困る」「少し困る」と答えた「困る派」が半数を超える計54.3％を占め、「困らない」の26.3％を大きく上回りました。具体的な困ったこととしては、「呼び方を変えてもらう必要があった」（41.3％）、「名刺やメールアドレス変更が大変だった」（33.5％）、「取引先に連絡するのが面倒だった」（24.6％）、「結婚、離婚を知られたくなかった」（21.0％）などが挙げられました。 調査を行った「女の転職type」編集長の小林佳代子さんは、「法律上、職場において結婚後も旧姓を使い続けることは違反ではありませんが、企業や職業によっては新姓に切り替える規定があるところもあるようです。今後、選択的夫婦別姓制度の法制化が進むかにかかわらず、職場において姓を自由に選択することが当たり前の世の中になると良いと強く感じます」とコメントしています。 厚生労働省によると、夫婦どちらかの姓を選ぶ現行制度では、この40年以上、夫の姓を選ぶケースが94％を上回っています。国連の女性差別撤廃委員会は「夫婦同姓を義務づける民法の規定は差別的な法規制だ」として、日本政府に選択的夫婦別姓制度の導入を勧告しています。 （読売新聞メディア局 鈴木幸大）
