「働かないおじさん」か、エリート管理職か…多くの50代会社員が直面する「深刻な危機」
50代で「キャリア迷子」になる
たとえば、『ほんとうの定年後』の「事実13 50代で就労観は一変する」というパートでは、〈キャリアの中で人は仕事に対する意義を見失うタイミングがあり、多くの人は50代でその転機を経験する〉という現実を明らかにしている。 「他者への貢献」「生活との調和」「仕事からの体験」「能力の発揮」「体を動かすこと」「高い収入や栄誉」といった、日本人が働く上で感じる価値観を分析してみると見えてくることがあるという。 〈多くの人が仕事に対する希望に満ち溢れていた20代から、人は徐々に仕事に対して積極的に意義を見出さなくなっていく。そして、落ち込みの谷が最も深いのが50代前半である。この年齢になるとこれまで価値の源泉であった「高い収入や栄誉」の因子得点もマイナスとなり、自分がなぜいまの仕事をしているのか、その価値を見失ってしまう。 定年が迫り、役職定年を迎える頃、これからの職業人生において何を目標にしていけばいいのか迷う経験をする人は少なくない。そうした現実がデータからうかがえるのである〉(『ほんとうの定年後』より) 50代で仕事に対する価値観が揺らぐ人が多い。一方で、60代・定年後になると、多くの就業者は、「小さな仕事」に前向きな意義を見出すようになるという。「競争」を重視してきたキャリアからいかに変化をしていくか、50代会社員の方々はこの難題に向き合うタイミングが来ている。 つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部