神谷浩史、浪川大輔、江口拓也ら豪華キャストが熱演 声優陣の個性が溢れた「幻視探偵 -笹嘉神島の殺人-」
Kiramune Presents READING LIVE 2024「幻視探偵 -笹嘉神島の殺人-」の東京公演が10月26日と27日の2日間にわたってTOKYO DOME CITY HALLにて上演された。神谷浩史を始め、浪川大輔や江口拓也など、多数の人気声優が所属するレーベル「Kiramune」。2009年のレーベル発足以来、様々なコンテンツを届けてきた「Kiramune」だが、2012年からリーディングライブと題した朗読劇を上演してきた。 【写真を見る】Kiramune Presents READING LIVE 2024「幻視探偵 -笹嘉神島の殺人-」の様子 今年4月に上演された「密室の中の亡霊 幻視探偵」に続く、「幻視探偵」シリーズの最新作が 「幻視探偵 -笹嘉神島の殺人-」だ。前回と同様に原作・脚本の相沢沙呼と演出の伊藤マサミがタッグを組んで、「幻視探偵」の新たな世界へと誘う。 本公演は、とある離島・笹嘉神島が舞台だ。そこでは神にまつわる古い風習が今でも根強く残っていた。そのひとつがミムロビトと名付けられた参加者たちが、神域と呼ばれる閉鎖環境に閉じこもり、一週間の祈りを捧げる忌籠の儀式。しかし、ある時、神域が炎上し、参加者全員の死亡が確認された。その謎に包まれた事件の真相を解明すべく、探偵・暁玄十朗とその助手・斗真摂理が難事件に挑む。 27日の公演は昼公演がBチーム、夜公演がAチームと分かれているが、本稿では両公演の見どころを紹介していきたい。まずは昼公演で暁を演じたのが浪川。豪快なセリフ回しと、人間味のある温かな佇まいで迫力たっぷりに演じてみせた。相棒となる摂理を演じた岡本信彦は浪川が体現する人情味のある暁とは対照的に少しおちゃめで活発な摂理を表現し、絶妙な相性の良さを見せていたのが印象的だった。27日の昼公演ではマイクトラブルが起こってしまうというハプニングがあったのだが、岡本が見事な機転をきかせて演じきる場面も。クスッと笑えるシーンも多く楽しんで見ることができた。 摂理の妹・斗真藍莉は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のニカ・ナナウラ、「ブルーピリオド」の桑名マキでも知られる宮本侑芽。冷静沈着な一面を持ち合わせているのかと思えば、摂理の死を引き起こした暁へは激しい憎悪を向ける。宮本の温かいトーンも相まって、サスペンスの世界観に安らぎをもたらしていた。 浪清役の田中亮一、龍之介役の上村祐翔、湊役の吉永拓斗の3人は物語の重要な役どころを担い、互いに疑心暗鬼になるシーンでは感情豊かに演じていた。湧水役の堀江瞬は物語の序盤から登場し、最後の最後まで重要なキーマンであり続け、観客には考察の余地を与える絶妙な演技で翻弄。木梨巡査を演じた木村良平は巡査としての顔と、もうひとつ上名木家の旭という顔を持っており、復讐心に燃える上名木家の子孫を豪快に演じた。 夜公演で暁を演じたのは神谷。浪川とは対照的に、凛とした佇まいで洞察力に優れた知性を感じさせる冷静さを感じる演技で、暁の新しい解釈を提示。時には語気を強めて感情豊かに演じる場面もあり、神谷の多彩な表現力に驚かされる。摂理を演じた吉野裕行は深みのある演技で、神谷とのバディを築き上げていく。同じキャラクターでありながら、AチームとBチームでこれほど個性に違いが出てくるのも面白いところだ。 佐倉綾音が演じた藍莉は、宮本の温かみのある演技とは打って変わって、凛々しくたくましい藍莉像を表現。神谷演じる暁に対して、後ろから蹴りを入れたり、神谷が大好きなドーナツを渡したりと、2人の掛け合いはお見事で、シリアスの中に上手に笑いも取り込んでいく。 浪清役の堀秀行、龍之介役の保住有哉、湊役の代永翼は堀の安定感のある演技を筆頭に、軽やかな演技で魅了した。湧水役の江口は艶っぽいセリフでアクセントを加え、堀江とは異なる謎多き湧水を表現する。木梨巡査役の小野賢章は爽やかで嫌味のない演技を披露したかと思えば、ラストシーンでは笹嘉神島における悪しき風習への憎悪をむき出しにし、会場を作品の世界へと引き込んだ。 同じ登場人物であっても演じる声優が違えば、個性も違って映る。そこで生まれる掛け合いや相性を楽しめるのもリーディングライブの魅力だ。「幻視探偵」シリーズはファンからも人気の高いシリーズなだけに、この先も続いてほしいと願うばかり。まだリーディングライブを見たことがない方はこれを機に観劇してみてほしい。 取材・文=川崎龍也
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