「自分が抑えればいいやって感じで」西武の黄金ルーキー武内夏暉が語る1年目“10勝6敗”「楽しんでるわけじゃないですけど(笑)」《パ・リーグ新人王》
ドラフト1位で入団した今季、持ち前のマウンド度胸で淡々と快投を披露し、2桁勝利・規定投球回到達・リーグ2位の防御率と、先発としての仕事を全うした。マイペースなレオの新人左腕・武内夏暉が、しなやかに駆け抜けたシーズンを振り返る。 発売中のNumber1108号に掲載の[獅子の黄金ルーキー]武内夏暉「無理せず、気負わず、こだわらず」より内容を一部抜粋してお届けします。 【貴重写真】大谷17歳、まだガリガリだけど甲子園で衝撃の特大HR、ぷっくり捕手な村上。ガリガリな柳田、ヤンチャそうな学ラン姿の張本に無名時の山本由伸…名選手140人超の高校時代を見る 恐るべきルーキーだ。 「味方の攻撃のとき、自分はベンチにはあまりいないですね。とにかく体を休めたいので、裏に行ってボケーっ、ダラーっとしています、アハハ。攻撃は見ていますけど、もう本当に体の力を抜いてダラっとしながら見ていて。点が入りそうで入らなかったときですか? 自分のピッチングには関係ないですかねぇ。自分が抑えればいいやって感じで」 プロ入り1年目の2024年、先発ローテーション入りを果たすと、初登板の4月3日のオリックス戦で7回を投げて被安打1、7奪三振の好投を見せプロ初勝利を挙げる。その後の2試合も、勝ち星こそつかなかったがいずれも7回までマウンドを守るクオリティスタート。7月4日までにライオンズ投手陣でトップとなる5勝を挙げ、シーズン序盤、黒星が先行するチームの苦しい状況を唯一、照らす光となった。 ピンチを迎えても顔色一つ変えずに思い切り腕を振る姿は、まるでその状況を楽しんでいるかのようにも見えた。
ピンチでこそ堂々と
「実際はピンチを楽しんでいるわけじゃないですけど(笑)、自分でも大事にしているところで。まだ起きてもいないマイナスな出来事を勝手にイメージしてしまうと、結果的に打たれることが過去にはありました。慎重になり過ぎてボールを置きにいったり、中途半端な気持ちで投げたときには必ず打たれる。自信を持って投げた球を打たれるより、そっちの方が絶対悔しいですから」 マウンドでの貫禄ある姿とは打って変わり、まだあどけなさの残る笑顔で語る。 シーズンを終えてみれば防御率2.17はパ・リーグ第2位。開幕から先発としてフル稼働し、10勝を挙げる大活躍。そんな23歳にとって今季はどんなシーズンだったのだろうか。 「入団するときは一応、開幕ローテーション入りを目指してはいたところでした。キャンプとオープン戦で怪我なく自分の思い描いた通りに投球できれば、その目標は叶うかなぁと思っていて。オープン戦で結果も残せたので心の準備はできていて、先発を告げられたときにはとにかく“やってやろう”という気持ちで初戦に臨んだ覚えがあります」 1試合を除くほぼすべての試合でバッテリーを組んだベテランの炭谷銀仁朗は言う。 「いい意味で、変なプライドがないんですよね。どんなことにも柔軟に対応できる投手。ピッチャーの中には『ここはこだわる場面じゃないよ』と諭しても、頑なになってしまう人が多いけれど、武内には全くそういうところがない。たとえば今日は調子が悪いから打たせてとろうとか、ゲーム状況と自分の調子を冷静に判断して臨機応変に考え方を変えられる。そういうことを1年目からできる子はなかなかいないですよ」 武内は國學院大2年生の秋に出場した明治神宮野球大会で、8回2アウトまでパーフェクトに抑える無四球完封勝利を記録。一躍、注目を集めた。 マウンドでの物怖じしないスタイルは大学時代に培われたという。「打たれたらすぐに気持ちが落ちてしまう方だったんです」と、大学2年生までは弱気になることも多かったと打ち明ける。
【関連記事】
- 【激白】「これだけ負けるのは人生初めて」西武・渡辺久信監督代行が苦悩を激白…100敗ペースの歴史的大敗シーズンも「どうにもならない状態は脱した」
- 【真相】まさかの電撃休養「松井ライオンズ」とは何だったのか? “シーズン100敗ペース”低迷を招いた「新外国人問題」「現場とフロントのズレ」
- 【あの日何が?】「本当にあの…」松井稼頭央監督が11秒も黙った“ある質問”…電撃休養、西武・松井監督「最後の1日」
- 【引退秘話】「ここまで来たなら先発で終わりたいなって」広島カープ一筋“211試合連続先発登板”日本記録の野村祐輔(35歳)が余力を残して引退したワケ
- 【貴重写真】大谷17歳、まだガリガリだけど甲子園で衝撃の特大HR、ぷっくり捕手な村上。ガリガリな柳田、ヤンチャそうな学ラン姿の張本に無名時の山本由伸…名選手140人超の高校時代を見る