「映像事業に注力、Z世代向け独自コンテンツをレミノやアマゾンなどに提供していく」…NTTドコモ・スタジオ&ライブ 吉沢啓介社長
NTTドコモが、スマートフォン向けのドラマ制作やアイドル育成といったエンターテインメント事業に力を入れている。吉本興業グループと共同出資する合弁会社、NTTドコモ・スタジオ&ライブが中心的な役割を果たす。吉沢啓介社長に狙いを聞いた。(聞き手・木瀬武)
吉本興業とシナジー
――合弁会社の役割は。
「ドコモに限らず携帯電話キャリアは、モバイルインターネットの時代からコンテンツ事業に取り組んできた。ただ、別の誰かが作った映像や楽曲をライセンス契約を結んで、使わせてもらうやり方だった。
6月にNTTドコモ社長に就任した前田(義晃)さんは、ドコモが自らコンテンツを手がけられるようにしたいと思っていた。112年の歴史を持つ吉本興業グループの力を借り、NTTグループとして史上初めて、IP(知的財産)を自ら開発して、生み出していくのが当社の役割になる」
――吉本興業と組んだ理由は。
「それぞれ得意な領域やアセットがある。吉本はバラエティーやドラマ、リアリティー系の番組を含めてコンテンツを作る強力なエコシステムを築いている。音楽でも『JO1』や『ME:I』など、素晴らしいアーティストを輩出している。
ドコモは、1億人の『dアカウント』の顧客基盤があり、国立競技場やIGアリーナ(名古屋市)といったスタジアム・アリーナの運営もしていく。動画配信サービス『レミノ』も持っている。中長期的には、NTTグループの最新技術『アイオン』をエンタメに活用することも視野に入れている。
両社のシナジーがうまく出せれば、今までにないエンタメ会社になれる」
スマホ向け1話3分程度
――力を入れる事業は。
「一つは、映像事業だ。コンテンツを作ってレミノやアマゾンなどに提供していく。例えば、年内にスマホ向けの1話3分程度のショートドラマを制作・配信する。Z世代と呼ばれる若年層らに受けるIPを展開していく。
もう一つが音楽事業で、アーティストを一から育て、楽曲やアーティストといったIPを生み出していく。ライブの興行も主催する。いずれも国内にとどまらず、海外市場も狙っている」