鹿児島県 ジンベエザメ漁港に出現 奄美市名瀬 自力で外洋に出た可能性も 迷い込んだ可能性
奄美市名瀬の大熊漁港で2日、ジンベエザメが出現した。何らかの影響で迷い込んだ可能性が高く、1日が経過した3日、同漁港では姿を見せず自力で外洋に戻った可能性がある。 ジンベエザメは成長すると10~12㍍になる魚類の中での最大種。世界の熱帯から亜熱帯に生息し、体の模様が夏着の「甚平(じんべい)」に似ていることからジンベエザメと名付けられたとされている。大きな身体を持つが動物プランクトンなどの小さいエサしか食べない大人しい性質を持つサメ。 今回名瀬の大熊漁港で見つかったジンベエザメは2日午前10時頃、知人からジンベエザメがいるとの連絡を受けた名瀬でダイビングショップを営む才秀樹さんが船を出し、ダイバーとともに海に潜って様子を確認。奄美海洋生物研究会の興克樹会長も知らせを受けて合流した。 興会長によると、このジンベエザメの体長は約4㍍で若い個体とみられる。水族館が放流した個体であるかどうかを、県本土などの水族館に連絡して確認したが放流個体ではく、何らかの影響で迷い込んだ可能性があるという。このジンベエザメは身体に傷があるものの比較的元気な様子で、漁港内を時計回りに周回しており、興会長らが幾度か沖への誘導を試みたが周回行動をやめなかったという。日付が変わった3日の午前2時頃まで漁業関係者が同漁港でのジンベエザメの姿を確認しており、それ以降は姿を見せていない。一夜明けた3日の午前中は報道等で存在を知った親子連れや市民らがジンベエザメを一目見ようと続々と漁港に来たが、姿が見えないことに落胆して帰路につく姿が目立った。 様子を見に来た興会長は「毎日のように海に出ているが、天然のジンベエザメを見るのは今回が初めて。ホエールウォッチングのシーズン時でも見たことがない」と語り、姿が見えないことから「自力で海洋に戻った可能性がある」と話した。 沖縄でジンベエザメを飼育・展示している沖縄美(ちゅ)ら海(うみ)水族館を運営する沖縄美ら島財団の担当者は「ジンベエザメが沖縄の漁港に出現する個体がたまにあるが、奄美での出現事例は聞いたことがない。映像などを見る限り、体に傷があるものの衰弱した様子もなく泳力もある。自ら泳いで外洋に出た可能性もあるのでは」と語った。