【原油価格】中国の原油需要ついにピーク、供給過剰懸念で60ドル割れ現実味…リスクは中東全面戦争
■ 1バレル60ドル割れが現実味を帯びる理由 中国石油最大手の中国石油天然気集団(CNPC)は10日、「中国の原油需要は来年ピークを迎える」との見方を示した。電気自動車(EV)やLNG(液化天然ガス)トラックの普及が主な理由だ。CNPCは「原油需要のピークは2030年」としていた昨年の予測を5年前倒しした。 世界最大手の独立石油商社ビトル・グループも、「中国のガソリン需要は今年ピークを迎える可能性が高い」とみている。 米シティ・グループは「米国による中国製品への関税引き上げで中国のGDPは2.4%減少する」としており、景気の悪化が中国の原油需要をさらに押し下げるだろう。 供給サイドに目を転じると、増産を3度延期したOPECプラスを尻目に米国の原油生産は好調だ。足元の生産量は日量1363万バレルと過去最高を更新している。人口知能(AI)など新技術の活用で生産効率が高まっているためだ。 原油・天然ガス生産を後押しするトランプ次期政権の効果も出てきている。 米石油最大手エクソンモービルは11日、2030年までに原油・天然ガス生産量を現在の日量458万バレルから540万バレルに引き上げる計画を発表した。米最大級のシェール鉱区「パーミアン盆地」での生産量を30年までに3倍以上の日量230万バレルにすることを目指している。 一方、「ロシアの石油輸出が減少する」との憶測が出ている。12月11日付ロイターが「欧州連合(EU)はロシアが石油取引の制裁回避に利用している『影の船団』への追加制裁を科すことで合意した」と報じたからだ。 だが、EUのこれまでの制裁でロシアの原油輸出に支障は生じておらず、今回の制裁も効果を発揮するかどうか定かではないだろう。 世界の原油市場は来年を通して日量約100万バレルの供給過剰が見込まれることから、原油価格の1バレル=60ドル割れは現実味を増している。