不記載議員12人非公認 衆院選事実上スタート、石破首相の賭けの成否
9日の衆院解散を受け、27日投開票の衆院選に向けた事実上の選挙戦がスタートした。衆院選は自民、公明両党が290を上回る議席を獲得した2021年10月以来3年ぶりとなる。小選挙区定数の「10増10減」を受けた新しい区割りで初めて実施され、与野党は小選挙区289、比例代表176の計465議席を争う。 首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短で「超短期決戦」となる。解散時勢力は連立与党が自民256、公明32の計288議席、野党第1党の立憲民主党は98議席だった。 石破首相は解散後の記者会見で、今回の解散を「日本創生解散」と名付けた。自らの肝煎りの地方創生を再起動させるとした上で「新たな地方創生は街おこしの延長ではない。日本の社会の在り方を大きく変える、日本創生の試みだ」と強調。「この大変革を思い切って実行するためには国民の皆様方からの信任が必要だ。我々に政権を託してほしい」と訴えた。 石破首相は衆院選の勝敗ラインについては「自民党、公明党で過半数を目指したい」と語った。公明の石井啓一代表も「与党で過半数」を挙げた。「政権交代こそ最大の政治改革だ」と主張する立民の野田佳彦代表は「自公を過半数割れに追い込み、立民が比較第1党になる」ことを目標に掲げる。 ●「新政権のご祝儀相場は限定的」 衆院選に関して、石破首相は自民党総裁選のさなか、解散前に一問一答形式で質疑する予算委員会の開催を念頭に国会審議が必要だと指摘していた。だが、新政権への期待が高い間に衆院選に突入した方が得策との思惑や、連立を組む公明党が早期の解散へ走り出している事情を重視する自民党内の声に押される形で短期決戦にかじを切った。 こうした解散時期への持論や、総裁選で掲げた「石破カラー」の主要政策を封印する石破首相の姿勢は「言行不一致」との批判を招いた。 日本経済新聞社とテレビ東京による10月1~2日の緊急世論調査で、石破内閣の支持率は51%と、内閣の発足時では現行の調査方式を導入した02年以降で最低水準となった。報道各社の最新の世論調査でもほぼ同様の傾向で、自民党幹部の一人は「首相の発言がぶれたと受け止められている。新政権のご祝儀相場は限定的だった」と漏らす。 石破首相の国民的人気を背景に短期決戦で衆院選を乗り切る――。そんなシナリオに暗雲が垂れ込める中、焦点になったのが、自民党派閥の政治資金パーティーで不記載があった議員の衆院選での公認問題だ。「党から処分を受けた議員らを原則公認する方針」との報道が相次ぐと世論や自民党内から批判が噴出。旧安倍派や旧二階派以外の議員らは「このままでは選挙を戦えない」などと首相や党幹部に訴えた。