不記載議員12人非公認 衆院選事実上スタート、石破首相の賭けの成否
自民党は政治改革や党改革に取り組む姿勢を強調。物価高対策として低所得者世帯への給付金支給などを明記し、地方創生関連の交付金拡充などを目玉に据える。公明党は公約に政策活動費の廃止のほか、所得制限なしに国公私立の区別も問わず高校などの授業料を無償化することを盛り込んだ。 立民は公約で企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止を主張。国会議員の世襲制限に向け、政治資金を親族に非課税で引き継ぐことを制限する案も盛り込んだ。経済政策では「分厚い中間層の復活」を提唱。中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」の導入を明記した。21年衆院選や22年参院選で公約に明記した消費税率の引き下げは盛り込まなかった。 日本維新の会は公約で個人消費の促進策として消費税率の8%への引き下げを主張。政策活動費の廃止や企業・団体献金の廃止などの政治改革と現役世代を重視した社会保障制度の改革を掲げた。国民民主は消費税について賃金上昇率が安定してプラスになるまで時限的に一律5%に減税する案や「教育国債」を年5兆円ほど発行し、子育てや教育の予算に充てると唱えている。 共産党は物価高に対応するための年金支給額引き上げ、れいわ新選組は消費税の廃止などを掲げる。社民党は3年間の消費税ゼロを柱に据え、参政党は積極財政の必要性を前面に打ち出している。 ●進まない野党の選挙協力 勝敗のカギとなる野党間の選挙協力については前進が見通せない。野田氏は維新や国民民主に不記載議員が立候補する選挙区での野党候補者の一本化に向けて協力を要請。共産党にも対象選挙区で候補者を絞るべきだと提案した。 だが、自民党が非公認を決めた候補者が立候補する11選挙区のすべてで複数の野党候補が出馬を予定している。共産党は立民候補がいる選挙区で独自候補の擁立を加速しており、候補者乱立で政権批判票が分散して自民党に有利に働く可能性が指摘されている。 自民党内では自民が単独過半数の233議席を割り込めば首相の責任論が噴出して「石破降ろし」が始まるとの見方が少なくない。自民党のベテラン議員は「石破首相の政権基盤が固まるのか、一気に政局モードになるのか。すべては選挙結果次第だ」と指摘している。
安藤 毅