「光る君へ」安倍晴明は道長の「メンターのような存在」 ユースケ・サンタマリア、前半からの変化を振り返る
第32回では死を予感した晴明が道長に別れを告げる場面があり、「ようやく光を手に入れられましたなあ。これで中宮様も盤石でございます。いずれあなた様の家からは帝も皇后も関白も出られましょう。お父上がなしえなかったことをあなた様はなしとげられます」と道長をねぎらい、「ただひとつ、光が強ければ闇も濃くなります。そのことだけはお忘れなく」と言い残した。道長は「幾たびも言うたが父の真似をする気はない」と言っていたが、その言葉通り、邪魔者がいればすぐさま晴明に呪詛を依頼していた兼家と違って、道長はいわゆる汚れ仕事を晴明にさせることはなかった。晴明にとって道長はどんな存在だったのか。
ユースケは「基本的に好きなんですよ、道長さまが。お父上(藤原兼家)とも僕はずっと長い関係性があったんだけど、その子供である、何人かいるんだけど、その中でも道長様っていう人間に惚れていたっていうか」といい、「だから晴明としては、前半と後半でまるでちょっと違うっていうか。最初はちょっと腹黒いビジネスマンみたいな感覚の安倍晴明。後半はメンターみたいな。道長にとってのね。彼を導く立場の人間みたいにちょっと役どころも変わってきたような気がして、それがすごく面白かったですね」と晴明と道長の関係の変化を振り返った。
第32回の演出はファンタジックな描写を得意とする黛りんたろう。晴明の臨終シーンは満天の星空と三日月を背景にした美しくも幻想的な演出だった。(編集部・石井百合子)