明日開幕!「空のF1」に新兵器で挑む“侍パイロット”室屋の決意とは?
――驚いたことに、この大会では賞金が出ないらしいですね。F1は、コンコルド協定で賞金の金額などは表に出ていませんが、莫大な金額が配分されています。下世話な人種としては、こんな危険なレースに参加するのに、お金という対価がなければ、どんなモチベーションが支えているのかと気になります。 「面白いからでしょう」 ーー面白いから? 「お金のためって、たいしたパワーにはならないんです。大金を手にしたところで、1万円札を肌に張りつけて寝たりはしないでしょう(笑)。まあ、お金があれば、もっと機体を改造できていいのでしょうが、本当に欲しいものは、お金では買えないものかもしれません。そこは、私にとって必要なエネルギー、モチベーションじゃないんです」 ――今季は、開幕から2戦、悔しい負け方をしていますが、それも面白かった? 「楽しめました。レッドブル・エアレースは、チームのみんなでとても大きな人生ゲームをしているようなものなんです。時々、失敗をして振り出しに戻るけれど、それでチームは結束します。努力をして、一生懸命やっていると、面白いものが見えてくる。ほら人生ゲームって、突然、何がどうなるかわからないでしょう。楽しんでいるだけですよ」 ーー1000秒分の1を争うスポーツ。ミスを犯さないスポーツともいえます。失敗との対峙は簡単ではないでしょう。時折、コックピット内で感情を露にするシーンが映像に映し出されます。 「瞬間は、結構、わーっとはなるんですが、結果は受け入れるしかないんです。失敗をしたという過去は変えられません。今現在しか変えられない。その今現在が未来を作ります。悔しがることも大事だが、それをずっと持っていても何もならない。まあ次から次へといろんなことが起きて忘れてしまうんですが(笑)」 ーー専門家についてのメンタルトレーニング、座禅などもされている室屋さんらしいポジティブシンキング? 「いえ、ポジティブシンキングじゃありません。遊んでいるだけ。面白がっているだけなんです」 ――アスリートが「楽しむ」と発言すると論議を呼びます。 「だって趣味ですから。趣味と仕事の境目のない究極の人生ゲームです」 注目のレースは、今日3日のトレーニングを経て、4日が予選、5日が本戦レースとなる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)