「1冊でも倒れないブックスタンド」10万台突破 開発のきっかけは? 小さな小さなイライラ
計画比の7倍を販売
試行錯誤のうえ、ようやく完成。2022年に販売したところ、どのような反響があったのか。SNSで話題が広がったことに加え、「文房具総選挙2023大賞」など複数のアワードを受賞したことで評価も高まり、認知度と人気が上昇。発売から約1年で計画の7倍以上となる4万4800台を販売した。 当初はシリーズ化の予定はなかったが、ユーザーからの要望に応える形で製品ラインアップを拡充した。現在は5サイズ、2色(最初に発売したスタンダードサイズのみ3色)を展開し、販売台数はシリーズ全体で10万台を突破するヒット商品となった(2024年6月現在)。 最も人気が高いのはスタンダードサイズ、次いでA4サイズ。「もともとファイルメーカーである当社の社員が使ってみて、『A4サイズの雑誌や書類を立てられたらいいのでは?』という声があった」と中村さんは説明する。 その後、本棚やカラーボックスにぴったり収まる小さなサイズへの要望も出てきたことから、ミニ、ミディアム、スタンダード、A4サイズを展開。ちなみに、両サイドには同じ形のジョイントが付いていることから、どのサイズでも連結して使用できる。
小物の収納にも役立つ
本やファイル以外に、食パンを立てて保管する人もいるようだ。このほかにも、レトルトカレーや電卓、袋入りの飴など、キッチンやデスク周辺の小物を立てることもできそうだ。「さびやすい部品を使っていないので、キッチン収納アイテムとしても使用できる」(中村さん) ただし、「倒れると壊れる心配がある電子機器などに使用するのは、おすすめできない」と注意も促す。 現在、シリーズ販売数が10万台を突破したことを受け、新たな施策を検討中だという。そもそもの開発のきっかけが子どもの絵本だったことから、絵本収納用にさまざまな色の展開なども視野に入れている。 小さな工夫が、「ありそうでなかった商品」を生む。「1冊でも倒れないブックスタンド」は、そのようなヒントを私たちに与えてくれる製品だ。本やファイル以外にも幅広い用途で活用できることを考えると、今後も安定的な売り上げが見込めそうだ。 (カワブチカズキ)
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