列車で落とした財布が見つかった→「え、拾い主が礼を求めている?」それが法律!? いざ直接交渉した結果
よりによって北陸新幹線で落とし物
注意していてもなかなか防げないのが「列車内の忘れ物」。JR四国を例に挙げるなら1日平均94件の忘れ物があり(2015〈平成27〉年)、その中には財布もあるそうです。現金の忘れ物は1日平均6万9742円にもなっているとか。 【えっ!】これが「忘れ物防止機能」がある新幹線です 筆者(安藤昌季:乗りものライター)も、長期取材中に財布を落としたことがあります。きっぷもチケットレス特急券の入った交通系ICカードも財布の中であり、青ざめて東京駅の新幹線改札口で相談すると、「ホームの中ほどに『お忘れ物承り所』があるので、忘れ物の届け出がないか聞いてください」と指示されました。 当日は大阪から東京まで在来線特急と北陸新幹線を乗り継いだため、「お忘れ物承り所」で、落とした財布の特徴と乗った列車を伝えると、JR西日本と東日本エリアの落とし物を調べてくれました。しかし届け出はなく、新幹線改札に戻り届いていないことを伝えました。幸いスマートフォンで旅程管理していたので、新幹線改札でチケットレス特急券や旅程を提示すると証明書を出してもらえ、改札からは出られました。 ただ一銭もないため家族に電話連絡し、迎えに来てもらうことに。待っているあいだにJR東日本と西日本の落とし物センターに電話しますが、何度かけてもつながりませんでした。 スマートフォンで検索すると、「お忘れ物チャット」サービスが24時間対応しているとのことで、そちらで調べてもらうことに。なお、オペレーターの対応は8~19時です。JR西日本の場合は9~20時に対応してもらえます。どちらも、落とし物をした路線や落とし物の特徴を入力して、検索してもらうシステムです。
ダメ元で警察へも連絡
問い合わせつつ、ほかにもマイナンバーカードや銀行のカード、交通系ICカードの使用停止措置などすべきことが目白押しで、自業自得ながらやりきれません。気づけば夜になっていました。 列車内で財布を落としたのに、警察に行っても無駄だとは思いましたが、念のため最寄りの交番にも行きました。交番で書類を書き、入っているものや落とした金額を記入。財布の購入ショップを覚えていたので、スマートフォンで画像を見せました。検索してもらうと、なんと落とした財布と思われるものが富山県で見つかったとのことで、驚きました。 警察官の説明によると、「JRの落とし物システムと、警察の落とし物システムは連動していないので、直接警察(JR)に届け出をされた場合は、もうひとつの方では調べられない」とのこと。さらに、拾った人が東京まで移動して警察に届け出たので、郵送などで取り寄せる必要はないとのことです。なお「富山県の落とし物」として届けられていたのは、拾い主が「北陸新幹線の車内で拾った」と申告したからです。 そして「拾った方がお礼を求めているので、その方と交渉してください」と言われました。遺失物法28条1項によると、「落とし物の価値の5~20%」がお礼額で、価値については双方の話し合いとなるそうです。 警察官に「落としたものの価値と言われましたが、例えば落とし物がブランドバックだったり、貴金属が入っていたりする場合は、その価値となるのですか」と尋ねると、「そうです」とのこと。落とした財布はブランド品ではなく、現金以外には交通系ICカードや銀行のカードが入っていましたが、警察の立ち合いもなく直接相手と交渉しろというのは、なかなか無茶な法律と感じます。