BRICS拡大、「多極世界」の形成示す-首脳会議でプーチン氏強調
(ブルームバーグ): ロシアのプーチン大統領は23日、主要新興国から成るBRICSの拡大は「多極世界」が形成されつつあることを示しているとの認識を示し、米国が主導する世界秩序に挑む姿勢を打ち出した。
プーチン氏はロシアのカザンで正式に開幕したBRICS首脳会議で、「BRICSは国際社会の主要部分、いわゆる世界の多数派の願いに応えるものだ」と述べ、「真に劇的な変化が世界で起こり、多極世界の形成が進行している現在の状況において、BRICSは特に必要とされている」と主張した。
BRICSには今年1月、アラブ首長国連邦(UAE)とイラン、エジプト、エチオピアが新たに加盟。昨年までブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の5カ国体制だったBRICSが9カ国となってから初の首脳会議をロシアが主催した。
タイやニカラグアなどに加え、北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコを含め30カ国以上がBRICSに加わることに関心を示しているが、さらなるBRICS拡大については現加盟国の間で意見が分かれている。
ブーチン氏は「グローバルサウス、グローバルイーストの国々が示すBRICSとの関係強化への前例のない関心を無視することは間違っている」としながらも、「同時にバランスを保つことも必要だ」と語った。同氏はその後、首脳会議の合間にトルコのエルドアン大統領およびイランのペゼシュキアン大統領と個別に会談した。
BRICSの影響力は増している。加盟9カ国の経済規模は世界経済の26%、人口は世界の45%を占める。これに対し、主要7カ国(G7)の国内総生産(GDP)は世界全体の44%、人口は10%相当だ。
BRICSは首脳会議の最終声明で、「違法」な制裁が世界経済に及ぼす悪影響について懸念を表明。また、欧米主導の国際機関である世界銀行と国際通貨基金(IMF)の改革を求め、「途上国の代表権拡大を検討」するよう呼びかけた。