「担任に年賀状」指導も 高校入試の「内申点」どうすれば上がる? 評価あいまい、専門家が語る実態
高校入試での合否の判断材料となる調査書(内申書)を論考した本「内申書を問う」が出版された。同書の編者を務めた田中耕治佛教大客員教授(京都大名誉教授、教育方法学)に、内申書の役割や課題について尋ねた。 【写真】高校授業料無償化で「公立VS私学」 -そもそも内申書とは何か。 「内申書は指導要録という教育評価の記録を載せた公的文書が事実上の原簿になっていて、入試に使用する書類と規定されている。当日の学力検査だけでは測ることができない資質や能力、中学生の普段の学力や学習状況を間近で見てきた中学教員が記す。生徒会活動やクラブ活動の実績などが記載される場合もある」 -内申書は入試でどのようにして使われるのか。 「入試では、当日のペーパーテストの成績に加え、内申書の『評定』(内申点)が主な判断材料となる。評定では、各教科の評価が5段階で記されている。テストの点数と、内申点を合計して合否を判定する。都道府県により合計点の配分率などは異なり、生徒会活動や部活の実績を加味するところもある」 「評定は『知識・技能』『思考、判断、表現』『主体的に学習に取り組む態度(主学態)』の3観点からの評価に基づいて付けられる。このうち、主学態をどう付けるかが難しい。かつては、授業で挙手した回数や居眠りをしていないかどうかが判断材料になると言われていたが、今は文部科学省が否定している。しかし、現場では依然そうした視点から評価しているケースもみられ、どう評価するのか定まっていないのが現状だ。あえて言えば、内申書では、『知識・技能』『思考、判断、表現』の2観点があれば、主学態は外してもいいと思う」 -生活態度を良くすれば、内申点は上がるのか。 「以前にある地方のメディアから取材を受けた際、内申点を上げるために、担任に年賀状を書くように指導する塾があると聞いた。主学態の評価を上げるため、担任の印象を良くするといいと思ったのかもしれない。主学態は大切な観点だが、入試に採用されるとこんなことも起こる」 -京都府内の私立高関係者から「内申書の評価はあまり信用できない」と聞いたことがある。 「内申書の評価は戦後半世紀近く、集団内の位置付けを示す『相対評価』を続けてきた。『5』は何%、『4』は何%というように厳格に配分率を設定して、順位を明確にするという意味で客観性を担保していたが、それでは本当の学力は分からない。