賛成、反対もう決めた?大阪都構想対決スマホ上でも火花
最大の狙いである「二重行政解消」については?
大阪都構想の最大の狙いである二重行政解消はどうでしょうか。 維新側がイメージするのは、東京都と23区のような行政の分担です。都市戦略や防災、高校や大学、病院などは広域行政として統合して大阪府が担い、幼稚園から中学校までの教育や戸籍、住民票など生活に身近な住民サービスは特別区が担う構想で、地下鉄は民営化するとしています。これにより、広域行政の二重行政を解消し、税金の無駄遣いがなくなることや、選挙で選ばれた特別区長が地域に密着した行政サービスを行うとします。 自民側は府と市が連携することで「大阪都にしなければ解消できない二重行政は『無い』」と断言しています。地下鉄民営化などは大阪市の努力でできることで「大阪都にしなくてもできること」としています。府市が重複している行政サービスの一本化による効率化についても、特別区ごとに新しく議会や教育委員会、選挙管理委員会などが必要になるため、職員増というコストアップにつながると指摘しています。 いずれも市民のワンクリックを獲得しようと、動画やイラスト、Q&Aで住民の疑問に答える形で呼びかける一風変わった「スマホ選挙活動」とも言えそうです。ここでは代表的な推進派と反対派の主張を比べてみましたが、維新、自民以外の大阪市議会各政党もサイトで大阪都構想に対する主張を掲載しています。
「都構想」だけど「大阪府」のまま?
「自分のまちのことやから、自分で決めなアカン」 大きな垂れ幕がかけられ、投票日を待つ大阪市役所。推進派の大阪維新の会代表の橋下市長は、39回の住民説明会で自らマイクを握りました。市役所前では、連日、反対派が街宣活動で主張を繰り返しています。 「大阪都構想」が生まれた背景には、大阪府と大阪市がそれぞれ行政を行ってきたことで、似たような事業を同じ大阪府内で双方が手がける「二重行政」と「府市合わせ=不幸せ」と揶揄された歴史があります。府市を再編することで二重行政を解消するのがそもそもの狙いなのです。 そして今回の住民投票は「大阪都構想」と呼ばれていますが、正式には「大都市地域特別区設置法」で政令市を廃止し、東京都のような特別区に分割することについて賛否を問うもの。つまり、「大阪府」の名前はそのままで、市内の各世帯には住民投票の詳細を記した「特別区設置協定書」のパンフレットが配布されています。 ただ「メリット、デメリットがよくわからん」(市民の40代中学校教諭)との声も聞かれる難しい内容でもあり、シンプルにつくられたサイトは判断材料のひとつに役立ちそうです。政令指定都市でなくなることで大阪市の行政、財政は大きく変化することになります。 今回の住民投票の結果が、大阪市のあり方を変えるだけではなく、将来的にほかの政令指定都市にも影響を及ぼす可能性があるため、日本中が注目しているこの論戦。賛否いずれにしろ、未来の暮らしを変える一票、じっくり考えたいものです。