「小学校卒の学歴」だからではない…田中角栄が毛沢東から"無教養"を皮肉られた本当の原因
■「実用的な中国知識」が不足している 一方、私は現代中国のジャーナリズムのプロとされますが、中国史を学んでいたのは修士課程までです。学問的な水準については、プロ選手どころか「高校野球の地方大会準決勝敗退のピッチャー」くらいでしょう。ただ、それでも体系的に学んだことがある競技経験者ですから、エアプ勢よりは正確なことを話せる。 ビギナー向けのコーチなら、「競技経験者」のほうが向いていることだってありますし、競技人口の裾野を広げるためにもそうしたほうが好ましい。しかも、多くの人にとっては趣味にとどまる野球と違って、中国学はその範囲にとどまりません。一人一人が現代中国の性質を知って分析するうえで役に立つ実用的知識ですから、多くの人に知られるべきだと思うんです。本書を世に出した動機はこれですね。 ---------- 安田 峰俊(やすだ・みねとし) 紀実作家(ルポライター)、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員 1982年生まれ、滋賀県出身。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了。著書『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』が第5回城山三郎賞と第50回大宅壮一ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。他の著作に『現代中国の秘密結社』(中公新書ラクレ)、『八九六四 完全版』、『恐竜大陸 中国』(ともに角川新書)、『みんなのユニバーサル文章術』(星海社新書)、『中国ぎらいのための中国史』(PHP新書)など。 ----------
紀実作家(ルポライター)、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員 安田 峰俊 聞き手=西谷格