「激務のわりに特別給料が高くもない」「育てるのに10年かかる」...《20年後に消化器外科医が半減》医療崩壊を防ぐために「今すぐやるべきこと」
---------- 地方の病院では医師不足が叫ばれる中、実は医師の総数は増え続けている。しかし、消化器外科医に限っては減少傾向にあり、危機的な状況が迫っているという。 ---------- 【マンガ】「死ねばいいのに」モラハラ夫に悩む女性が我が子をネットに晒し始めた理由 前編記事『《国民の皆様へ》20年後、消化器外科医が半減します...「胃がんや大腸がんなどの《命にかかわる手術》が受けられなくなる」というヤバすぎる現実』に続き、消化器外科医を増やしていくための改善策などについて、解説する。
女性医師が消化器外科医を目指せる環境を
これから消化器外科医の数を増やしていくためには具体的にどのような対策が必要になってくるのだろうか。外科医で作家の中山祐次郎氏が語る。 「いきなり消化器外科医を2倍に増やすといったことはできないので、今はタスクシフティングといって、手術以外の業務を他の診療科の医師や看護師にシフトして、負担を減らす取り組みをしています。 例えば、日本では抗がん剤治療は、これまでずっと外科医が行なってきました。『外科医が手放さない』という意見もありますが、そんなことはない。ただ、他の科に任せるとすれば、腫瘍内科が担当になるのですが、そもそも腫瘍内科医が少ないという問題もある。私もできるのであれば、他の先生にお願いしたいところですが、現実としては難しい面があるのです」 深刻な消化器外科医不足の解消には、女性医師の存在が鍵を握っていると、中山氏は話す。 「大学の医学部入学者に占める女性の割合は年々増えており、今では約4割に達しています。しかし、消化器外科を選ぶ女性は極めて少ない。それはやはり、将来的な結婚や出産、育児などのライフイベントを考えると、消化器外科に興味はあったとしても敬遠する女性医師は非常に多いからだと思います。その点からも待遇を改善して、消化器外科医を目指す女性医師を増やしていくことも重要です」
チームで患者をケアする仕組みに
昔から、消化器外科に限らず全般的に外科医不足は問題視されていた。中山氏によると、15年ほど前から、外科医の他に産婦人科医や小児科医の数が少なく、特に産婦人科は危機的な状況だったという。 ただし、産婦人科ではタスクシフティングなどの対策に取り組んできたことで、産婦人科医が増えたと、中山氏が指摘する。 「私が研修医時代に行った都立病院の産婦人科では、部長以外の7人全員が女性医師でしたが、患者さんに固定の主治医をつける『主治医制』ではなく、その日に出勤している医師が担当する『担当医制』を採用していました。患者さん一人一人に複数の医師が関与することで、夜勤で泊まる人以外は定時で帰るといった分業システムもできており、夜中に緊急の出産が発生したとしても、突然呼ばれることもありません。 患者さんにとっては、毎回診察する医師が違うと心配に思われるところもあるかもしれませんが、医師間の情報共有をしっかりすれば問題ありませんし、複数の医師の目で病態を確認するので見落としなどのミスが減るメリットもある。これらの対策を進めたおかげで今では産婦人科医が増加傾向にあるので、消化器外科でもどんどん真似ていくべきです」
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