真夏開催五輪の酷暑緩和に期待。ヒートアイランド東京の緑化どこまで進化?
東京の夏は、年々暑くなっています。気象庁の統計によると、2017年7月の平均気温は27.3度。ビルや道路の照り返しが強い都心部では、ヒートアイランド現象によって熱がこもり、平均気温よりも暑くなりがちです。 行政はあの手この手のヒートアイランド対策に着手し、少しでも暑さを和らげようとしています。日本水フォーラムは、残り湯などを使って都市を冷やす打ち水を推奨。小池百合子都知事も音頭をとって打ち水の啓発に取り組んでいます。国土交通省や環境省は、緑化によって都市を冷やす施策に取り組んでいます。その成果もあり、屋上緑化や壁面緑化はよく目にするようになりました。 現在、屋上緑化・壁面緑化はどのぐらい取り組まれているのでしょうか?
都市部の緑化、屋上庭園から普及
2017年8月、東京都千代田区の日比谷公園内一画に奇妙な物体がお目見えしました。一見すると植物でつくられた園芸作品のようなそれは、国土交通省がヒートアイランドを解決するべく取り組んでいる壁面緑化技術の公開テストでした。 「かねてより国交省は屋上緑化・壁面緑化に取り組んできました。日比谷公園内での公開テストは、新しい緑化技術の開発と情報発信することが目的で実施されました。日比谷公園が選ばれたのは、ヒートアイランドが著しい東京都心部にあり、実験できるスペースの確保が容易だったことが理由です」と話すのは、国交省都市局公園緑地・景観課の担当者です。 ヒートアイランドは環境問題になるため、基本的には環境省が所管する分野です。しかし昨今は、道路の舗装表面を工夫することで気温を下げる取り組みも進んでいます。都市の緑化はヒートアイランドにも有効とされており、国交省も公園や緑地を増やすといった取り組みをしてきました。 ただし、ビルが密集する都心部ではそうしたスペースを確保するにも限界があります。これらの事情から、ビルの屋上に注目。屋上緑化に取り組むことにしました。 「国交省が屋上緑化・壁面緑化に取り組み始めたのは2000年前後です。当時、屋上緑化面積は全国でも約13万5000平方メートルしかありませんでした。国交省は屋上緑化を推進するべく、国交省がある合同庁舎3号館にも屋上庭園を開設。屋上庭園を造成することで、屋上緑化技術の推進と普及啓発を目指しました」(同) 国交省が屋上庭園を造成したことで、地方自治体の庁舎屋上にも次々と屋上庭園がつくられていきました。それだけではなく、地方自治体は民間のオフィスビルや個人宅に補助金を出すなどして、積極的に屋上緑化を推奨しました。その結果、屋上の緑化面積は年を追うごとに増加。2016年には単年で約27万6000平方メートル、累計で約471万9000平方メートルもの屋上緑化が創出されたのです。