今季優勝者がすでに5人 渋野日向子、原英莉花ら‘98年度生まれの「黄金世代」が強い理由
勝みなみ、畑岡奈紗、新垣比菜の3人が同級生を引っ張る感じで実力を底上げした。アマチュア時代から強いエリートだけではなく、天本のように5度のプロテストを受験して、同じ舞台に立った苦労人もいる。 「プロテストに落ちた時は仲間からの連絡はそれほど来なくて、そのかわり受かった時の祝福がすごかったですね。たくさんもらいました。そこに気遣いを感じました。『やっとだな』『遅いよ』『こっから一緒に頑張ろうな』とジュニア時代から一緒にやっていた大里や渋野から声をかけてもらいました」(天本) 女子プロゴルフの世界では、アマ時代に活躍していてもプロになれない選手はたくさんいる。プロになった人がテストに落ちてしまった人に声をかけることによって、かえってプレッシャーを感じさせ、「上から目線」的な感情が生まれ、関係がぎくしゃくすることも多いのだという。 天本が4月にプロ初優勝を飾ると、黄金世代の「見えない結束」が言葉として出てきた。 「大里から『じゃあ、私も頑張ろう!ハルちゃんがやれるなら私も…』みたいなことを言ってくれて……実際、比菜ちゃん(新垣比菜)が勝った後に、桃ちゃん(大里桃子)が優勝でしょ?」(天本) そんな刺激は海外勢へも。今季9戦中6戦で予選落ちし不調だった渋野日向子が6月の全米女子オープンで2位となった。 「桃ちゃんや比菜ちゃんがやってんじゃんみたいな感じで、こっちから(日本ツアー)の刺激が結構あるんだろうな。私たちも渋野と頻繁に連絡をとるわけではないけど、成績はずっと気にしてみているし、それは渋野も同じじゃないかな。また(私たちも)頑張ろうや」と仲間の好成績に自らを奮い立たせた天本は初日、首位に1打差の2位でスタートした。 黄金世代の現役プロは30人。グループLINEや忘年会みたいな会合は存在しないが、そのかわり“派閥”みたいなものも存在せず、お互いが高め合える関係にあるという。13回目を迎えたアース・モンダミンカップでも、誰かが話題を振りまくプレーを見せるだろう。 取材・文・写真:戸加里真司
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