【Around30】庭付き一戸建てを夢みて、会社を辞め佐渡島に移住
斉藤千里さんが毎朝ジョギングする、新潟県佐渡市佐和田地区の海岸
Around 30 人生の分岐点~私はこれで生きていく~ 第4回 地域おこし協力隊(新潟県佐渡市佐和田地区担当)斉藤千里さん(27) 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第4回は、2015年3月から地域おこし協力隊として新潟県佐渡市に移住した斉藤千里さん(27)。庭付き一戸建ての生活を夢見て、東京で働く女性会社員が移住したその背景に迫った。 ◇
新潟県佐渡市。金や銀の豊富な産出量から、かつては江戸幕府の直轄領として栄えた。東京23区の1.5倍ほどあるこの島には現在、5万8000人余りが生活している。 午前6時。携帯電話にセットしたアラームで目を覚ました。カーテンの隙間からは朝日が差し込む。1分も歩けば、日本海を眺めながら海岸線をジョギングできる。佐渡市に移住してきてからの日課だ。斉藤千里さん、27歳。大学を卒業後、PR系のコンサルティング会社を経て、2015年3月から地域おこし協力隊として働いている。
「地域おこし」を仕事に
地域おこし協力隊は、その名前の通り、「地域おこし」が仕事内容だ。市町村から地域ブランドの開発やPR、雪国なら雪かきなどの生活支援も、仕事として委嘱される。内容は、人によって異なり、隊員になれば住民票を移し、1年から3年は担当地域で生活する。 斉藤さんの職場は、担当地域の行政施設にある。市の職員と机を並べ、午前8時30分から午後5時までが基本の勤務時間。会社員時代は、自宅から1時間電車に揺られて通勤したが、今では徒歩で5分だ。 現在の主な仕事の一つに、佐渡市佐和田地区の河原田本町商店街の活性化がある。この商店街はかつて商業の中心として栄えたが、近年では別の場所に全国チェーン店がいくつも進出し、人の流れが変わって活気が失われてしまった。