子どもたちがものづくりを体験 八尾で「みせるばやお」開設へ
子どもたちが楽しみながら就業体験
ランチミーティングを企画したシャープの担当者は「社内の限られた技術だけでは、イノベーションに限界が生じやすい。八尾の企業と交流を深めるうちに、高い技術力を持つ優良企業が数多くあることが分かってきた」と、現状を分析。「みせるばやおを拠点に多彩な技術者とのオープンイノベーションを通じて、独創的な商品やサービスの共同開発につなげたい」と、将来を見据える。 運営母体の役員を務める友安製作所社長の友安啓則さんは多角的な視点からワークショップ効果を期待する。たとえば、どのようにしたら子どもたちがものづくりに関心を示してくれるのか。 「子どもたちは好奇心がおう盛で、大人がしていることを自分たちも真似してみたい。テレビ番組のほこたて対決のように、迫力の技術を目の前で観察すると、『すごい』と感じてくれるだろう。ロボット教室なら、AI制御のロボットと、子どもたちが操作するロボットのどちらが早く課題をクリアできるか、競い合うのもいい。八尾人は総じて八尾愛が強い。ものづくりに関心を持った子どもたちが、成長して八尾の企業で働いてくれたらうれしい」(友安さん) 子どもたちは楽しみながら学び、通うごとに就業体験を積み重ねていくわけだ。企業にとっても利点が多い。 「業務用分野専門の企業でも、現場の技術者がワークショップに参加すると、普段はふれあう機会の少ない最終消費者と直接交流できる。業界向けの得意技術を、消費者向けの新分野で生かすヒントに出合えるかもしれない。従業員数名の企業では、社外の幅広い人材とコラボできるワークショップを、社員教育の場としても活用できる」(友安さん) ランチミーティングに参加した中小企業経営者のひとりは、ワークショップ方式に期待を寄せたうえで、「人員に限りがある中小企業でも、ワークショップを継続しやすいよう工夫したい。企業のスタッフが付きっきりで指導しなくても、温かい人間味を残しながら、子どもたちがある程度パソコンで自習できる方法を取れ入れてはどうか」と提案していた。 ものづくり企業と市民が交流する新タイプの施設「みせるばやお」。磨き抜いた技を競い合うほこたて対決からICT(情報通信技術)活用まで、新たな体験の仕組みを作り出す実験の場にもなりそうだ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)