商用車ベースと侮るなかれ! 走りの良さに驚いたフィアット ドブロ マキシ 試乗レポート【前編】
現行型初となる大幅改良のポイントはどこか?
2024年12月5日、Stellantisジャパン(以下、ステランティス)は新型フィアット ドブロ/ドブロ マキシを発売しました。今回は7人乗のロングボディモデル「ドブロ マキシ」に試乗、その走りを中心にレポートしていきたいと思います。 【写真はこちら】「おとなしい」から「キビキビと走るなぁ」という印象に変化(全10枚) フィアット ドブロは、プジョー リフター、シトロエン ベルランゴとプラットフォームやパワートレーン、ボディなどを同じくする兄弟車にあたります。また各車に標準ボディとロングボディで7人乗りのリフター ロング、ベルランゴ ロング、ドブロ マキシが用意されています。 2025年12月に日本で発表された改良後ドブロ/ドブロ マキシには目立った変化がいくつかあります。まずフロントマスクのデザインが一新されています。リデザインされたLEDヘッドライトを左右につなぐガーニッシュの形状が変更され、左(正面から見ると右)側ヘッドライトの横に1980~90年代のフィアットロゴをモチーフにしたエンブレムが追加されました。 インテリアではシフトセレクターが従来のダイヤル式からスイッチ式になったほか、クルーズコントロールなどの運転支援システムのスイッチ類がステアリングホイール上に配置されるなどの変更が施されています。さらに新しいインフォテインメントシステムがインストールされた10インチタッチスクリーンも装備されています。
ホイールベースはあと少しで3mに達する長さ
今回試乗したモデルは、ロングボディで7人乗りのドブロ マキシです。このモデルの寸法を標準車のドブロと比較すると、全長は365mm長い4770mm、ホイールベースは190mm長い2975mm、全高は20mm高い1845mmです。全幅は1850mmでドブロ、ドブロ マキシともに同じ数値となります。つまり、全幅とホイールベース以外は日産セレナやトヨタ ノア/ヴォクシーなどとあまり変わりません。 試乗車のキーを受け取り、運転席に座ってまず思ったことは「見晴らしが良い!」でした。前席サイドウインドウのボトムラインが低く、鏡面が正方形に近い形の大きなサイドミラーは映し出す範囲は上下左右に広いのです。この2点は少し狭く暗い地下駐車場からクルマを出す際や車線変更時などにとても役立ちました。 駐車場から出て混雑した国道をノロノロと走っているシーンでは、以前に乗ったプジョー リフター ロングやシトロエン ベルランゴよりもややエンジンのレスポンスが穏やかに感じました。ディーゼルターボ車に時おり見られる、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間にグワッと前に押し出されるような感覚が薄く、どちらかというと乗り慣れたガソリンエンジン車の加速感に近いのです。 車体の大きさやドブロよりも100kg重い車両重量のせいなのか、それとも改良を機に変更が加えられたのか……。ちなみにステランティスによると、本国からは出力特性を変更したなどの情報は届いていないとのことでした。 しかし、混雑した国道から抜け出して高速道路へとつながる幹線道路に出ます。速度域が中速域に達すると走りの印象はスタート時に感じた「おとなしい」から「キビキビと走るなぁ」といったものに変わります。合流時や追い越しなどのシーンではストレスは感じませんでした。