いま旬は、コンパクトなサイズ ケース直径36.5mmのグランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS
挑み続ける作り手の情熱的な物語から目が離せない!
エンジン時計委員の“推しの国産時計”はこれだ! ヴィンテージの再解釈と最新ムーブメントとの融合、和の美に通じる凝った意匠のダイアル、そしてジャパン・メイドの高品質はいまや海外の時計愛好家たちをも魅了するまでになっている。 【写真3枚】シンプルかつ表情豊かな大人の時計 文字盤から眼が離せないグランドセイコーのヘリテージコレクション 44GS そんな時計好きを唸らせる「メイド・イン・ジャパン」の魅力的なモデルのなかから、今回はシチズンの美意識を凝縮した新作を紹介しよう。 ◆エンジン時計委員、野上亜紀のイチオシ ◆グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 手巻メカニカル SBGW299 「グランドセイコー」の特徴的なデザインのルーツとされる1967年の「44GS」をベースにした「44GS現代デザイン」。SBGW299はその中では最小の直径36.5mmのケースにダークブルーダイアルを組み合わせ、約72時間(約3日間)の長時間パワーリザーブが備わる実用的な手巻きムーブメントを搭載する。着けやすいサイズと腕なじみの良いメタルブレスレットが快適な装着感をもたらす。ステンレススティール、10気圧防水。73万7000円。 ◆進化の物語から目が離せない しばしば原稿でも書いているのだが、街を歩いていると、グランドセイコーを着けている人はすぐにわかる。遠くから見ても目を引く、深いニュアンスに満ちているからだ。 ザラツ研磨が叶える見事な鏡面や、面と面が際立つ稜線の美しさなどがよく謳われることだが、その言葉に違わず、実際にそうした細部への妥協なき作り込みが、グランドセイコーの個性として突出している。 リコメンドしたいモデルは多くあるが、今テーマではやはりこの「44GS 現代デザイン」をセレクトしたい。 旬のコンパクトなサイズや光を捉える瑞々しい青文字盤にひと目ぼれした、という個人的欲望はさておき、グランドセイコースタイルを確立したモデルの系譜であるからだ。 最新ムーブメントの搭載や時代の需要に合わせてそのデザインは少しずつ変化しているが、根幹たる造形美は変わらない。原点を護り、いかに現代にアプローチするのか。その歩みと、挑み続ける作り手の情熱的な物語から目が離せないのである。 文=野上亜紀 (ENGINE2024年12月号)
ENGINE編集部