『ミスター・ムーンライト』 成井豊・関根翔太・鍛治本大樹が23年ぶりの再演に込める思い
キャラメルボックスだから見せられる芝居を
――SNSなどの反応を見ると、すごく思い入れのある作品だから久しぶりに舞台を見に行こうという声も多くありました。久しぶり・初めての方に向けて、今のキャラメルボックスの魅力を伝えるならどこでしょう。 成井 39年前にできた劇団ですが、当時は小劇場ブームがまだ続いていました。アンチロマンの時代で、ストーリーがよくわからないものが主流だった。でも我々の世代はストーリーがしっかりしたものを作りたいと。そこから39年経ち、いろいろな時代がありましたが、うちのような劇団は今でもあまりない。特徴としては、ファンタジーでコミカルさもあるエンターテインメント。劇団員にはスピードとパッションが大事だと伝えています。これは80年代を代表する夢の遊眠社や第三舞台、つかこうへい事務所の影響もあると思う。熱くて速い芝居が面白いと刷り込まれていて、それを39年続けている劇団です。 関根 この間、『ディスカバリーズ』というキャラメルの若手だけの公演があったんですが、あんなに若者が汗だくで声を張り上げている芝居はなかなかないと感じました。脈々と受け継がれてきたものを守り、キャラメルでしか見られないものを作り上げている。ダンスやファンタジー要素など、成井さんの十八番が詰まっていると思いました。「王道」なのに唯一無二なのがキャラメルボックスだと思います。 鍛治本 昔から見てくださっている方は、劇団と一緒に歳をとっているんですよね。長年応援してくださっている方が多く、『ミスター・ムーンライト』初演の時はキャラクターたちと同年代だった方が、今は僕らを子供のように見守ってくれていると感じます。僕は入団して20年弱ですが、いまだに初舞台のお話をされるんです(笑)。いつまで経っても覚えていてくれて、成長を見守ってくれている印象が強い。一緒に歳をとって、お客さんと劇団員の関係性が変わっていくのが魅力だと思います。 ――公演に対する意気込みと読者へのメッセージをお願いします。 成井 再演は基本的に評判の良い作品を上演します。でも、今回はちょっと心配。初演の評判が良すぎるし、今映像を見ても本当に面白い。やりがいがすごくあるけど、かなり頑張らないといけません。自分で自分を鼓舞しているところです。相当頑張るので、ぜひ楽しみに見に来てほしいです。 関根 汗まみれになりながら真っ向勝負で頑張りたいです。近江谷さんがゲストで出演されることで、きっと2001年版を見ている方も見てくださると思います。「今のキャラメルボックスもいいよ」というのをお見せしたいです。 鍛治本 再演ですが、メンバーも時代も違うので新作のつもりで臨もうと思っています。とはいえ偉大な初演があるので、意識しなくても意識してしまうはず。それくらいのバランスでやっていくのがいいと思いますし、若いメンバーも増えていて、今のキャラメルボックスの面白さが存分にでる作品になっていると思います。 取材・文:吉田沙奈 <東京公演> 演劇集団キャラメルボックス2024クリスマスツアー 『ミスター・ムーンライト』 公演期間:2024年12月20日(金)~12月25日(水) 会場:サンシャイン劇場