『ミスター・ムーンライト』 成井豊・関根翔太・鍛治本大樹が23年ぶりの再演に込める思い
初演の良さを残しつつ、より良いものに
――今回の見どころになりそうな部分はどこでしょう。 成井 初演は本当に評判が良くて、特にOPのダンスは劇団員に聞いても好きだという声が多かった。100%同じにはならないだろうけど、近いものをやろうと思っています。昔からのお客様はあれを見たいという方が多いでしょうから、まずは新しいメンバーによるダンス。あと、全役変わる再演はなかなか経験がない。ほとんどのメンバーが初体験だから、ほぼ新作として作れるんじゃないかと思っています。 鍛治本 見どころは関根の主演じゃないでしょうか(笑)。キャスト陣を見ると、好き勝手やりそうなメンバー揃い。出てきては関根にちょっかいをかけて無責任に去っていくことの連続になると思います。それに対応しながら物語を回し、汗をかいて振り回される姿が見どころになるでしょうし、僕もどんどんちょっかいをかけたいと思います(笑)。 関根 見どころにしたいのは、鍛治本さんとの親友感。僕自身は友達が少なくて親友の感覚が掴めていないんですが、だからこその親友感をぜひ見てもらいたいと思います。 ――初演が良すぎてプレッシャーも大きいとのことですが、再演ならではの楽しさ・魅力はどこにあると思いますか? 成井 すごく面白かったけど、初演は色々やりすぎているんです。例えば舞台装置もすごくゴージャス。あんなに作る必要ない(笑)。飾ってあるだけで使ってないセットもあったもんね。あと、ギャグがたくさんあって面白かったけど、あんなにやる必要ある? 一同 (笑)。 成井 上川はテレビが忙しくなっていたのもあったのか、稽古を本当に楽しんでいて、アドリブの嵐。50ステージ以上ある本番でも全く手を抜かずにギャグをやって、なんて勤勉なんだろうと(笑)。 初演を褒めましたが、盛りすぎた部分を削ってシンプルにすることで、もっとお客様に突き刺さる物語になるんじゃないかと思っています。だからといって面白さを減らすことはしないけど、より物語や役者の感情が突き刺さる、鋭いお芝居にしたいと思っています。 鍛治本 僕は同じ作品を繰り返し上演している歌舞伎やお能が好きで、自分がやる時も、再演作品ってすごく好きなんです。初演は強大ですが、いいところを取り入れつつ自分たちの良さを出せるので、圧倒的に再演が有利だと思っています。いいお手本を利用しながらもっといいものにできると確信しています。 関根 大成功した初演があるので、そこに今の僕ら、今の時代だからできる付加価値をつけていけば、絶対面白い作品にできると思います。当時はなかった感覚も盛り込むことで今のお客様に楽しんでもらえるものになるはず。自分たちの感覚を信じて作っていけたら楽しいものにできると思っています。