課題は「子離れ」「相続」……若年・中高年それぞれの婚活
これまで若者中心とも見られていた婚活が、このところ80代の男女にまで広がっています。地域の婚活パーティーも若者から中高年層以上までの参加が目立ちます。しかし活況の半面、婚活の周辺には親子関係のゆがみや高齢社会の不安も影を落とし、背景は複雑。街の婚活パーティーを訪れて、その実相を探ってみました。
●20~40代の婚活
6月下旬に長野市内のレストランで開かれた婚活パーティー。20代から40代前半までの男女各7人、計14人の参加です。いわば集団のお見合いですが、実は参加者全員でカレーライスや豚肉ソテーを作りながら交流します。名付けて「KON COOK」。 自己紹介の後、レストランの厨房を使いながら料理の準備を開始。食材の確認、仕分け、役割分担を進めながら次第に調理が進み、出来上がったところで会食します。この間、互いに相談したり、指示を出したり、手伝ったりのさまざまな場面があるので、相手を意識して体裁を取り繕うひまもなく率直に交流できるのがミソです。
参加した40代前半の男性は「もう40だからなあ」と言いながらも「でも何回か参加しています」と期待を込めます。初めて参加したという20代の女性は料理を通じてリラックスできた様子で「楽しんでいます」と笑顔を見せていました。 KON COOKを主催した若井結婚センター(長野・松本両市に事務所)の若井順子所長(57)は、「40代で引きこもっていたり、こうした婚活イベントを計画しても出てこない男性が多い。眠っている男性たちを引っ張り出さなきゃだめですね」と話します。 若井さんによると、その背景にはかわいい息子や娘を親がいつまでも抱え込んでいるケースが多いと言います。子どもも親がかりの生活だから居心地がいい。そうした境遇だと相手への気遣いも身に付かず、男性の場合は女性と付き合っても無神経さが嫌われる―という悪循環。「立派な紳士なのに女性とお見合いすると、2人でどこに行ってどんな話題を持ち出したらいいのかも分からないという人もいますね」。