人それぞれ意見があり、世代間ではギャップも生じる
前述したように評価は人それぞれであり、バラックの発言を大上段に否定するのはアンフェアだ。筆者も歴代ベストイレブンを選ぶなら、DFラインは右からリリアン・テュラム、アレッサンドロ・ネスタ、ファビオ・カンナヴァーロ、パオロ・マルディーニを並べる。1980年代後期から長きにわたってセリエAを支えた彼らの運動能力と戦術理解度は、現代のフットボールでも十分に通用すると信じているからだ。
当然、異論・反論が湧きあがる。最高にクールなDFを知らない世代の皆さんにすれば、チンプンカンプンの人選だ。
でも、それでいいじゃないか。
感銘を受けた選手は個人差があり、世代間ではギャップが生じる。ペレやヨハン・クライフはもちろん、ディエゴ・マラドーナを知らない世代と一緒に仕事をしている。意見を統一するのは不可能だ。完全に一致すると逆に気持ちが悪い。
アジアカップで苦戦する日本代表には、行きすぎたバッシングが降りかかっている。全勝優勝を疑わなかったための感情論ではなにも解決しない。鈴木彩艶に対する差別などもってのほかだ。
周囲の意見を尊重しよう。年長者を敬い、若者に寄り添えさえすればそれでいい。十人十色、百人百様……。多様な価値観があるからこそ、人生は美しい。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹