子を思う親の愛描く 仏画家の観瀾斎さん 東寺で18回目の作品展/兵庫・丹波市
兵庫県丹波市市島町北奥神池にアトリエを構える仏画家、観瀾斎さん(78)が、世界遺産の真言宗総本山の東寺(教王護国寺、京都市)食堂で、18回目の「かんらんさい展」を開いている。「慈愛」をテーマに木版画、墨彩画、油彩画計約200点を出展。ユーモラスなほのぼのしたタッチから荘厳なものまでさまざまな作風の作品が並んでいる。入場無料。 「祈りと慈愛に行き着いた」と言い、祈りや、親が子を思う気持ちを描いた作品に力を注いだ。 作品の一つ、「愛」(油彩F8号)は、赤子を抱いた観音様の周りをゾウやワニ、ライオンなど10種の生き物の親子が取り囲んだ、温かな作品。天使も描いており、仏画でありながら、仏教にとどまらない自身の世界観を表現している。 「妙光」(F10号油彩画)も同様に子を抱く親を5人の僧が囲み、手を合わすなどしている。半畳ほどある七福神の墨彩画は、二頭身にデフォルメしたユーモラスな仏を描き、「福もってこい」の言葉を添えている。 この他、四国八十八ケ所寺の版画屏風、2メートル×28メートルの世界最長木版画「百観音」、大作版画「阿吽の双龍」(縦2メートル×横2メートル)など、過去に制作した人気の高い作品も展示している。 同寺秋期特別公開の恒例の催し。年の瀬まで展覧会が続き、心身を休め、春ごろから制作にかかる。1年の大半を費やすライフワークとなっており、観瀾斎さんは、「丹波の地で描いた世界平和や愛のメッセージを、世界遺産の東寺から世界に発信させてもらっている。画家としてこれ以上の喜びはない」と穏やかに語った。 栗原周玉さん(丹波市)の般若心経・観音経も同時展示されている。