謹んで故人の冥福を祈ります─事務所への葬儀花輪は韓国K-POPファンの変質の象徴?
推しのアイドルや事務所の誤った行動には怒りの鉄槌を下すファンが増えてきた──
週明けのソウルの街にいつものようにやってきた会社員たちが目にしたものは、大手音楽芸能事務所の本社前に並べられた200個以上の葬儀用の花輪。スキャンダルで活動を中断していたアイドルグループのメンバーを復帰させるという事務所側の発表に、反発したファンたちによるデモ行動だった。「もの言うファン」による葬儀用の花輪を送りつける抗議活動は、もはや定着しつつあるというが、さまざまな問題も起きている。韓国メディア国民日報、イートゥデイ、ニュース1などが報じた。 【動画】RIIZEスンハン復帰に反対した葬儀花輪テロ 10月12日、ソウル市東側の城東区(ソンドンく)にある大手芸能事務所SMエンターテインメントの本社を、200個以上の葬儀用の謹弔花輪が取り囲むようにして並べられていた。花輪には次のようなメッセージが添えられていた。 「謹んで故人の冥福を祈ります」 「無賃乗車は消えろ」 「スンハン、アウト」 問題になったのはSMエンターテインメント所属のボーイズグループRIIZE(ライズ)のメンバー、スンハンだった。2023年8月にシングルを発表し事実上のデビューを果たしたRIIZEだったが、その直後にスンハンがプライベートで女性とキスした写真が流出。さらに11月には練習生時代のスンハンが日本の路上で煙草を吸っていた映像が流出し、一部ファンがグループ脱退を求めてデモを行う事態に発展。結局、SMエンターテインメントはスンハンを無期限活動休止として謹慎させるとアナウンスした。 <「謹んで故人の冥福を祈ります」> それから約1年が過ぎた24年10月11日、SMエンターテインメントは突如として、スンハンが11月から復帰し、RIIZEに合流することを発表した。「デビュー前から心血を注いで計画してきたRIIZEの次なる章は7人のメンバーが一緒にする時、より意味があるように見えると判断し、今後のチームの活動方針について何度もスタッフおよびメンバーと議論を経た結果、スンハンがチームに復帰することに決めた」ということだったが、RIIZEファンのBRIIZE(ブリーズ)たちはすぐさま猛反発し、夜中の内にSNSやネットの掲示板などを通じて以下のようなメッセージを流した。 スンハン ライズ復帰反対 SMエンターテインメントの謹弔花輪デモ SMエンターテインメントの正門にライズの6人体制を支持する内容の謹弔花輪を送ってください。 日時:10月11日(今日)夕方6時 場所:ソウル城東区往十里路83-21ディータワー正門前 同じ時間に送ると効果的です。 ぜひご一緒してください! #RIIZE_6人で_存在して #ホン・スンハン_アウト #6人で_走ってきた道_ただ乗りは消える このメッセージを読んだRIIZEファンは、続々と業者に謹弔花輪を発注。その日は深夜までSMエンターテインメント本社前に花輪の配達が続き、数百個にまで増えたという。 もちろんファンたちのアクションは謹弔花輪だけではなかった。グッズやアルバム、さらにはライズが出演する広告製品などの購入を取り消す不買運動を展開するとSMエンターテインメントにプレッシャーをかけたのだ。結局、SMエンターテインメントは13日夜11時45分、スンハンの復帰を撤回。ファンたちの前にひれ伏した形となった。