拉致被害者家族との面会で発言する石破茂首相（右から2人目）＝17日午前、首相官邸（春名中撮影）

石破茂首相は17日、北朝鮮による拉致被害者家族と就任後初めて官邸で面会した。「首脳同士が大局観を持ってお互いの考えを率直に述べ合うことは極めて重要だ」と述べ、金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党総書記との首脳会談への意欲を語った。拉致被害者の横田めぐみさん（60）＝拉致当時（13）＝の弟で被害者家族会代表の拓也さんは、東京と平壌に相互の連絡事務所を開設する首相の案に反対する意向を伝えた。 首相は拉致問題について「誘拐事件ではない。同胞が他国によって拉致されているというのは国家主権の侵害以外の何物でもない」と指摘。家族の高齢化を踏まえ、「時間との勝負だ。『何としても解決せよ』という皆さんの思いを私ども政府と共有させていただき、今後、最善を尽くす」と強調した。めぐみさんの母の早紀江さんは「（拉致解決の）実現まであきらめることはない。日朝（首脳）会談を早めてほしい」と語った。 首相が先の自民党総裁選で訴えた連絡事務所の設置案に関し、拓也さんは「強く反対する。連絡事務所を設置する手法は拉致問題を時間稼ぎした上で幕引きすることにしか寄与しない。被害国である日本が、加害国である北朝鮮に迎合する必要は一切ない」と訴えた。 拓也さんによると、首相から事務所開設案に言及することはなかった。 面会には拉致問題担当相を兼ねる林芳正官房長官らも同席した。