「ふるさと納税本来の趣旨で」 制度発展目指す26自治体が設立準備会開催
THE PAGE
寄付金獲得競争が過熱化や、都市部自治体の一部から税の減収につながっているなどの批判が出ている「ふるさと納税制度」の本来の趣旨・目的を広く広め、制度の健全発展を目指す自治体連合設立に向けた準備会が29日、東京都の都道府県会館で開かれた。準備会には同自治体連合共同発起人となっている26自治体のうち、12自治体が出席。来月以降に設立総会を開くなど、今後の活動の方針を確認した。
「ふるさと納税はまだ発展の段階」「国が規制すればいいというものではない」
来月以降設立を目指す「ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合(仮称)」には、ふるさと納税提唱者である西川一誠・福井県知事の福井県が呼びかけ、福井・岩手・山形の3県と、北海道東川町など19道府県23市町の計26団体が共同発起人として参加している。 準備会では山田賢一福井県総合政策部長が「ふるさと納税は平成20年度に制度が始まり、年々寄付の額も増え、本年度は2000億円を超える見通しと報道されている」。「一方で、一部の自治体の高額な返礼品、あるいは大都市の減収に課題があるという批判も出て、総務省も返礼品の金額について上限を設定する議論があるが、まだ利用者は全納税者のわずか2%、大都市の減収も東京の場合1%にも満たないまさに発展途上の段階」と現状を説明。 「地方から都市部で就職し、日本の活力を生み出すような日本の構造が基本にあり、ふるさと納税はその中でよい循環を作り出すひとつのツール。議論はあるが、地方の提案で始まったこの制度をなんとか発展させ、健全に育てていくのが本来の地方分権のあり方で、問題があれば国が規制すればいいというものではないのではないか」と設立の目的を話した。
制度には「都市の寛容」と「地方の自制」が必要
続けて、参加者で「ふるさとに貢献したい、ふるさとに応援したい」という制度スタート時の本来の狙いなどを盛り込んだ設立趣意書の内容や今後の活動の方針を確認。ふるさと納税の「ふるさと」には“生まれ故郷”と応援したいと自分が“選んだふるさと”の2つがあることを明確にすることや、税収が減ることの「都市の寛容」、過度な返礼品にならない「地方の自制」が重要であることなどを話し合った。 また一部民間のポータルサイトでも、金券や高額な電化製品など明らかに本来の趣旨と異なる返礼品を扱っている自治体は載せないという動きが始まっていることが報告されたほか、総務省が4月にも示すとしている返礼品上限を3割までとする通知に対しては「この自治体連合としてそれに対して動きは行わないが、全国約1700地方自治体のうち、返礼品が問題視されている団体は10~20しかない。国に反対するわけではないが、ふるさと納税はわれわれで作ったもの、良識常識でやっていくものだと考えている」という説明があった。 今後は、来月4月以降に共同発起人26団体の首長が参加して、設立総会を開催。その後、全国の他の自治体にも参加を呼びかけて、自治体連合の理念の啓発活動や情報共有・勉強会などを実施する予定だという。