「部下がぐんぐん成長する上司」がしている質問、能力を最大限に引き出す「気づき」の力
組織において目標を達成するにはチームの底力を上げる必要がある。そのためには、チームのリーダーが部下1人ひとりに対して、その人が自ら考え、行動に移せるようなコミュニケーションを行うことが必要だ。そこで本稿では、『リーダーのためのコミュニケーションマネジメント』の著者で、2000件以上の企業研修でマネジメントや人材育成の課題解決を支援した実績を持つ杉本ゆかり氏が、部下の自発的な行動に導く質問の仕方について解説する。
■組織にいがちな「ダメなリーダー」 ・メンバーに「これやっておいて!」「自分で考えればできるだろう」と命令だけして指導しないリーダー ・新人に業務の方法や手順まで細かく指示してアイデアを考えさせない先輩 ・自分の指示通りにやらない部下に「それじゃダメだね」と新しいやり方に反対する上司 あなたの組織にこんなリーダーはいないだろうか。多忙を極める中で業務を進めるためには、自分のやり方で業務を指示したり、とりあえず丸投げしたりするほうが手っ取り早い。
しかし、これはリスキーな手段である。部下は指示待ちに育ち、偏った思考で非効率的に仕事を進めるようになってしまう。リーダーのスタイルを押し付けるやり方やその場しのぎでは、部下もチームも伸びないだろう。 時間に追われながら部下やメンバーを指導するためには、新しい感覚の理解と合理的な手法の習得が不可欠である。部下が成長しチームが飛躍するカギは、気づきをもたらし自立を促すことだ。 そのためには、「教えるマネジメントスタイル」から自身が考えて答えを生み出す、「導きスタイル」へのパラダイムシフトが必要である。そこで求められるのが、実は質問力なのだ。
リーダーの質問力を高めるメソッドとしては、解決のための資源を見出し、行動を促すための目標達成マネジメント「コーチング理論のGROWモデル」が最適である。 リソースを生み出すための質問は、部下の思考・視野を広げるのに役立つ。部下はさまざまな角度の質問に繰り返し応えることにより考えが整理され、新たな気づきを得る。 それを踏まえて、リーダーは部下が目標と現状のギャップを把握できるよう促す。そのギャップを埋めるための施策を考えることで、部下は具体的な行動に移せるようになる。