「英語は単なるツール」。全国が注目する公立校は、どう「勉強と現実社会」をつないだのか
徹底した自分事化。社会課題は目の前の勉強とつながっている
探究心を育てるのは、教科学習での工夫にとどまりません。 MOISが独自に設けている「3G Project(※)」と呼ばれる探究活動(総合的な学習の時間)では、現実社会の課題をテーマに、個人あるいはグループで問題解決に取り組みます。 (※)3G:Grit=やりぬく力、Growth=成長しつづける力、Global=世界に視野を広げる力の3つの単語の頭文字。「3G」はさいたま市が教育都市として掲げるキーワードであり、同校の校訓にも採用している。 また、そこで出た課題や、より自分で調べたいテーマを深掘りするために「LDT(Learner Directed Time)」と呼ばれる隔週の自己学習プロデュースの時間も用意し、大学や研究機関、企業などからも講師を招いています。必要があれば、生徒自身で外部の方とのアポイントを取ることも珍しくないそう。 「とはいえ、探究学習にはステップが必要」だと関田氏は語ります。 1年生では、自分の学校について調べたことを発表したり、市の未来をより良くするプランを企業の助言を得ながら考察したり。そして2年生はグループでSDGsを探究する……といったふうに、徐々に視野を広げて学びを深めていきます。 「ある4年生の生徒は、保護者の来校する日に、世界の食糧問題を考えてもらうきっかけとしてフードフェアを実施しました。各国料理のキッチンカーを複数招いたりしたのですが、事前に先生からアドバイスを受けながら保健所への確認なども、生徒一人で実行していました。 紐解けば、この取り組みも、2年生のSDGs探究からつながっているのでしょう。どんな課題も自分事として考え、自分ができることで貢献する。それが大事なのです」
現実社会の課題を自分事化するMOISスタイルは、年2回の三者面談にまで行き渡ります。 MOISの三者面談では、冒頭に生徒が「学習の進捗」「自分の課題とその解消は、自分の将来像にどう結び付くか」「その将来像は、世界を良くすることにどうつながるか」を教師と保護者にプレゼンテーションする時間を設定しています。 目の前の課題が、未来の現実社会とつながっているのを意識することで、「何のために学ぶのか」を考えるきっかけの一つとしているのです。