栃木県立美術館で企画展 江戸時代の文人画家・浦上玉堂の作品90点展示
企画展「水墨の魔術師 浦上玉堂 真の文人画家、ここにあり 岡山県立美術館コレクション-倉敷大原家伝来受贈作品、関東初公開」が現在、栃木県立美術館で開催されている。(宇都宮経済新聞) 【写真】白雲半断図 同展は、岡山県立美術館が所蔵している玉堂コレクションに、倉敷の素封家大原家が収集してきた玉堂作品が加わり「一層充実した内容となった」ことを契機に関東地方で初公開する玉堂の画業をたどる展覧会。重要文化財の「山雨染衣図」「天秋古泉響図など約90点の作品を紹介する。 江戸時代の文人画家、浦上玉堂(1747-1820)は岡山藩の支藩鴨方藩士として生まれ、士大夫(高級官僚)、琴の名手でもあった。50歳で全ての役職を捨て脱藩し、2人の子ども(春琴と秋琴)を連れて各地を遊歴しながら本格的に絵を描くようになった。自らを「私は儒者であり、琴士であり、絵は素人」と明言している独学我流の作品には、内面の陰影や自然の移ろいを墨の表現効果によって繊細に描き出し、約26年の画業の中で変遷を見せる。 会場には玉堂が琴譜に起こした古典歌謡・催馬楽(さいばら)の音楽を流し、当時の鑑賞の雰囲気や時代感を味わえる工夫を凝らす。 併せて、玉堂の作品がどのようなアプローチで描かれたかを現代画家、浅見貴子さんが再現する映像作品の上映や、制作に使われた毛筆以外の道具、アダンの実や海藻植物の根などの展示もある。 同展を担当した同館副館長兼学芸課長の橋本慎司さんと、浦上玉堂研究第一人者である岡山県立美術館館長守安さんとの30年来の信頼関係の中で、今回の企画展が実現したという。 橋本さんは「江戸時代を代表する文人画家だが、浦上玉堂の栃木県での知名度は低い。知らない作家・作品を観に行くというわくわく感も美術館の楽しみ方の一つ。メジャーな作家だけでなく、過去の芸術家の作品に触れて新たな出合いの機会にもなれば」と来場を呼びかける。 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は、一般=1,200円、高校・大学生= 600円、中学生以下無料。無料音声ガイドあり。12月22日まで。
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