芸工大「アニメ」「食」コース新設へ 既存学科を一部再編、26年から
東北芸術工科大(山形市)が既存学科を一部再編し、入学定員を増加させて教育環境の充実を図る方針であることが22日、同大への取材で分かった。アニメなど映像コンテンツ分野の人材育成を強化するコースや、芸術系大学では全国初の「食」に関するコースを2026年4月に導入する。創造力を養う教育を従来以上に展開し、地域が抱える課題への対応が可能な学生の輩出を目指す。 1992年開学の同大には芸術学部とデザイン工学部があり、全15学科・コースを設けている。2026年4月からは、両学部を残した上で全19学科・コースに改組する。これに伴い、入学定員は593人から636人に拡大させる。文部科学省への変更認可申請に向けた準備を進めている。 志願者数が伸びている学科をリニューアルし、より質の高い教育を実践する。デザイン工学部映像学科に「CG・アニメーションコース」を新たに設置。海外で評価が高い日本の漫画やアニメなどのコンテンツ産業を政府が重視していることを踏まえ、社会のニーズに応えられる人材を育成する。
同学部の企画構想学科内には、本県の食文化をデザインの視点から学ぶコースを新設する。各地域に根付く豊かな食を財産と捉え、食に関する企画やデザイン、プロデュースを実践する学生を育てる。同大客員教授を務めるアル・ケッチァーノ(鶴岡市)の奥田政行オーナーシェフによる講義も充実させるなど、特色ある学びの場を提供する考え。 私立大の多くが定員割れとなる状況下、同大は安定した入学者を確保しているという。山形新聞の取材に中山ダイスケ学長は「攻めの姿勢で時代の流れを読み、多様化する学生や社会のニーズに応えていく必要がある」と話した。コース新設については「アニメやゲームは日本の産業の一つを形成しており、第一線で活躍中の芸工大卒業生から学べる機会も設ける。食文化をデザインの視点で考え、地域の持続可能性、生産者の農業経営に役立てるようにしたい」と強調した。 学科再編に伴い、芸術学部の文化財保存修復学科、デザイン工学部のコミュニティデザイン学科は25年度で募集を停止するが、学生が在学中は学科として存続させる。