JAL出資の米ブーム、実証機が飛行試験5回目成功 超音速に年内到達へ
超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」を開発中の米ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic、本社デンバー)は現地時間10月7日、年末までに超音速飛行を目指す技術実証機「XB-1」(登録記号N990XB)の5回目となる飛行試験に成功した。超音速に達するまでに10回の亜音速飛行を予定しており、折り返し地点に到達した。 【写真】5回目の飛行試験に成功したブームのXB-1 5回目の飛行試験は、これまでと同じカリフォルニア州のモハベ(モハーヴェ)空港・宇宙港で行われ、チーフテストパイロットのトリスタン“ジェペット”ブランデンブルグ氏が操縦桿を握った。今回初めて着陸装置を離陸直後に格納し、実際のフライトの状態に近づいた。今後の飛行試験では標準的な手順になる。 最高速度はマッハ0.69(約845キロ)、高度は1万7800フィート(約5425メートル)に達し、総飛行時間は約50分で、これまでの最速、最高高度、最長飛行を記録。操縦性などを確認した。 前回使用したFES(フラッター励振システム)が修理され、再設置された。FESは現段階の飛行試験で重要なシステムで、超音速までの飛行限界を明らかにするために広範囲に使用される予定だという。 実証機のXB-1は2人乗りで、主翼の形状はデルタ翼を採用し、エンジンは既存のGE製J85-15が3基。アフターバーナーを使ってマッハ2.2(時速換算2335キロ)の実現を目指す。ブームは、XB-1で超音速飛行の技術を検証し、同社初の超音速旅客機であるオーバーチュアの開発につなげる。 オーバーチュアはエンジンが4基となり、アフターバーナーを使わずに現在の民間航空機の2倍となる速度を実現し、マイアミからロンドンまで5時間弱、ロサンゼルスからホノルルまで3時間で結ぶ。 ブームには日本航空(JAL/JL、9201)も出資しており、実際に量産するオーバーチュアは、ユナイテッド航空(UAL/UA)などが発注している。
Tadayuki YOSHIKAWA