COP29閉幕 先進国の資金拠出「年3千億ドル」で合意 現状の3倍
【バクー=小野田雄一】アゼルバイジャンの首都バクーで開かれてきた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は24日未明、主要議題となった来年以降の気候変動対策資金の枠組みに関し、先進国が2035年までに現状の3倍となる「年間3千億ドル(約46兆4千億円)」の拠出を達成するとの目標を定めた成果文書を採択し、閉幕した。 地球温暖化の抑止に向けた途上国支援を目的とする気候資金の枠組みは従来、先進国が「25年まで年間1千億ドル」を拠出すると規定。COP29で25年以降の新たな枠組みを決めることになっていた。ただ、年間1兆ドル規模への増額を求めた途上国と、大幅な増額は困難だとする先進国の主張が対立し、協議が難航。当初は22日に予定された閉幕から1日以上遅れての成果文書採択となった。 成果文書はまた、気候資金の規模に関し、35年までに世界全体で官民合わせて「年間1兆3千億ドル」の拠出を達成すべきだとも記載。先進国は温室効果ガス(GHG)排出量で世界1位の中国など裕福な途上国も資金拠出に参加させることを求めてきたが、成果文書は「途上国の自発的な貢献を奨励する」との強制性のない表現にとどめた。 専門家は、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑えるとする国際枠組み「パリ協定」などに基づく目標の達成には、世界全体で年間数兆ドル規模の拠出が必要だと試算。先進国が年間3千億ドルの拠出を早期に達成しても、地球温暖化の抑止に与える効果は限定的だとの見方も出ている。 さらに、GHG排出量世界2位の米国では気候変動対策に否定的なトランプ次期大統領が返り咲きを決めた。トランプ氏は来年1月の新政権発足後、1期目に続いて再びパリ協定から米国を離脱させるとの観測が強い。米国が協定を離脱し、国際的な資金拠出の先行きがさらに不透明になることも懸念されている。