ヤマハの自動変速機構「Y-AMT」搭載車に注目が集まるが…… 「MT-09」の最上級モデル「SP」は何が凄い?
コーナーの立ち上がりでは、フルアジャスタブルになったオーリンズのリアショックと、より開けやすくなったリンク特性がトラクションをアシスト。これ以上あるとかなり乗り手を選ぶことになる、120PSの最高出力をきっちりと路面に注ぐことができます。 だからといって、その出力を野放しにしているわけでもありません。パワーモード、トラクションコントロール、スライドコントロール、リフトコントロール、ブレーキコントロールといった従来の電子制御に加え、エンジンブレーキマネージメント(エンブレの強弱を調整)とバックスリップレギュレータ(エンブレによる挙動の乱れを抑制)が、車体の安定性に貢献。逆に、自分の意志で振り回したいライダー向けには、リアのABSをオフにできる機能もあるなど、これまで以上に高い自由度が確保されているのです。
高揚感を煽るヤマハ独自の「アコースティックアンプリファイアグリル」にも注目
現在、幅広く展開されている888ccの水冷4サイクル3気筒エンジンですが、そのサウンドの魅力を全面的に押し出しているモデルが、このSPを筆頭とするMT-09シリーズです。モデルチェンジの際、吸気ダクトの変更によって、その高周波サウンドが強調された他、吸気音がライダーの耳に届きやすいように独自の開口部(ヤマハはこれをアコースティックアンプリファイアグリルと呼ぶ)を設置。
その音響効果によって、トルクフィーリングが明瞭になり、出力を自在にコントロールしている感覚も強まっているため、スロットルを積極的に開けていきたくなるのです。そんな風に、エンジン自体の特性もさることながら、サウンド面からもドライバビリティの向上が図られています。
そしてもうひとつ。SPならでは特徴が上質さでしょう。車体色には、ブルーイッシュホワイトメタリックと呼ばれるシルバーが設定され、燃料タンクの塗り分け、艶やかなスイングアーム、DLCコーティングとゴールドのアウターチューブで引き締められたフロントフォークなどによって、ヤマハのフラッグシップモデル「YZF-R1M」との親和性を演出。スタンダードモデルとは明らかに異なる、高い質感が与えられています。
走りよし、見た目よしのSPのパフォーマンスは、MT-09シリーズのトップグレードにふさわしいものであり、タウンユースからサーキットまで楽しめるモデルに仕上がっています。 MT-09 SPの車体価格(消費税10%込み)は、144万1000円。発売は、2024年7月から始まっています。
伊丹孝裕