文化財修理拠点、課題浮上 京都の候補地、選定難航も
文化庁が京都移転を機に2030年度までに新設を目指す国立「文化財修理センター」について、敷地内が有力候補地となっている京都国立博物館(京博、京都市東山区)が、遺構の存在や湿気の多さなど立地上の課題を指摘していることが23日、文化庁への取材で分かった。24年度中を予定する建設地選定が難航する可能性が出てきた。 センター建設を巡っては、京博敷地内の修理所や博物館展示との連携を重視する観点から、文化庁が昨年3月、「京博敷地内における実現可能性を検討する」と掲げた。さらに同12月、センターに人材育成のための研修室や、国内外に修理文化を知ってもらう見学スペースなどを備える基本構想をまとめた。 建設候補地の一つは、京博敷地内の南側駐車場。この一帯は建物の高さ制限があり、基本構想に盛り込まれた機能を備えようとすれば床面積が足りず、地下室が必要になる可能性がある。 だが敷地は、平安時代後期に後白河法皇の御所だった法住寺殿跡などとして遺跡地図に掲載され、23年の試掘調査で遺構や井戸跡が確認されている。