子どもの頃「お年玉」は母が預かっていました。結局返してもらっていないのですが、これってよくあることなんでしょうか…?
子どもの頃に、親戚などからもらったお年玉を親に「預かっておく」「大人になったら渡す」などと言われた経験はありませんか。「子どもに大金を持たせておくのが心配」という理由で、親が預かっておくこと自体は珍しくありませんが、なかには大人になった今でも返してもらっていない人もいます。 そこで、今回は法律上の考え方も踏まえて、お年玉の管理について分かりやすく解説します。
親には子どものお年玉を管理する権利がある
子どもがもらったお年玉の所有権は、金額や年齢にかかわらず、子ども自身にありますが、法律上、親権を持つ親には未成年の子どもの財産を管理する権利があります。 民法824条では、「親権を行う者は、子どもの財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」と定められており、親がお年玉を預かることは認められているわけです。ただし、親権をもとに親が子どもの財産を管理できるのは子どもが成人するまでの間となります。 民法828条では、「子どもが成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子どもの養育及び財産の管理の費用は、その子どもの財産の収益と相殺したものとみなす。」とあります。つまり、子どもが成人に達した時点で、親はそれまで管理してきた財産の収支を明らかにしなければなりません。
問題はお年玉の使い道
親が預かっていた子どものお年玉を、塾の月謝や学用品の購入費に充てることは、子どもの利益のために使用した範囲とされ、適切な使い道とみなされます。一方で、親自身の買い物やギャンブルに使った場合には別です。お年玉の所有権が子どもにある以上、刑法上の「横領罪」に該当する可能性があります。 しかし、刑法においては「親族間の犯罪に関する特例」があるため、実際には刑が免除されるでしょう。仮に、子どものお年玉を親が預かり、全額を親自身の遊興費に使ったとしても、親に刑罰が科されることはありません。しかし、将来的に子どもと間でのケンカや不仲の原因に発展する可能性は十分あるため、親がお年玉を勝手に使い込むことは避けるべきです。