「第二のニセコ」候補・白馬に外国人が来る理由 文化や食でなく…コスパの良さが決定打に
文化に興味のない白人スキーヤーたち
──旅行ではどんな行程をたどる人が多いのでしょうか? ミラー 北米・オーストラリアの白人観光客の多くが、成田から白馬に直行し、1週間くらい滞在してそのまま帰国します。アジア系観光客の場合、東京をはじめとするその他の観光地に寄って、日本文化を楽しみながらスキーも楽しむ方が多いです。 ──北米・オーストラリアの観光客は、日本の文化コンテンツに関心がないのでしょうか? ミラー もちろん、人によっては日本の文化を楽しみたいと思う人もいるでしょう。しかし、スキーやスノーボードを目的に来た北米・オーストラリア人の多くは、日本文化を主目的として訪日しているわけではありません。日本文化に触れたいというのもあるかもしれませんが、「安くて安全で、雪質がいい」といった理由で日本を選んでいます。なかでも、「安さ」は日本の最も強力な優位性です。 現在、日本の経済界は高価格帯旅行や富裕層向けレジャーの創出を目指しています。現状のまま、北米などと同等に白馬を含めた日本のスキー場価格を上昇させてしまった場合、「安さ」という優位性を失うことになり、現在のような外国人観光客の流入は期待できなくなるでしょう。 高価格戦略とインバウンド誘致を両立させたいのなら、外国人がもっと快適に旅行できるよう、村のインフラ全体を世界水準化して国際競争力を高めるしか方法はないように思います。 ──サービスにおいては、日本は世界的に非常に高い満足度を得ていると思います。それらが付加価値にはなり得ますか? ミラー 確かに、日本のサービスや日本人の優しさなどは、僕を含め多くの外国人たちにとって魅力的です。 「値段が非常に高いのにサービスはいまいち」なのはアメリカ人である僕自身もアメリカで感じることです。「値段が安いのにサービスの質が高い」日本に惹かれ、そのまま住み続けたいと思う外国人も多いです。ですが、多くの外国人にとって、日本に移住したり日本に居続けることはとても難しいのです。 欧米とオーストラリアからの外国人観光客が、日本のサービスなどに魅力を感じている側面はもちろんあるでしょう。ですが第一の理由は「安くて安全、雪質がいい」点に尽きると思います。