中村勘九郎・七之助が語る 亡き父・勘三郎さんから孫に継がれる中村屋の“芝居愛”
■父・勘三郎さんが残した言葉を振り返って
父として、歌舞伎俳優として、勘九郎さんが息子たちに望むこととは…? その願いにも勘三郎さんから学んだ熱い思いが引き継がれていました。 ――今後、息子2人にはどのように成長していってほしいと思われていますか? 勘九郎:もう伸び伸びやってほしいです。幸いなことに芝居が好きっていうのが、彼らの中にあるので、あとはうちの父親が体現していたし、ずっと言ってたこと。 “お客様のために”。自分ファーストじゃなくて、お客様ファースト。お客様のことを考えて、楽しんで帰っていただけるような役者になっていってほしいなと思います。 ――勘三郎さんは、勘九郎さんの襲名公演の口上で「一歩一歩進んでいって、ゆくゆくはあっぱれ歌舞伎役者となれるように」と願いを込められていました。そんな思いを背負いながら、勘九郎さんと七之助さん、兄弟2人はこれからの中村屋をどのように支えていきたいと考えていますか? 七之助:父が「俺は一人だったけれども、お前ら兄弟仲良くしてればね、二人いるんだから」ってずっと言っていました。それが今となっては幸いにも兄弟仲いいので。もちろん後輩もいますけれども、みんな仲良く切磋琢磨(せっさたくま)して、ひとつの方向を向いて“一歩一歩”。本当に父の言葉じゃないですけど、「あっぱれ」って言ってもらえるように、一歩一歩進んでいきたいなと思います。 勘九郎:父に言われたことっていうのを、常に思いながら演じています。だから、その兄弟仲良くって言われてきたことをちゃんとやってきたんで、今回、『籠釣瓶花街酔醒』で、兄弟2人が共演できるっていうのは、父親は“あっぱれ”って言っているんじゃない? 七之助:うーん、あっぱれっていうか、「やるんだね」ってびっくりはしてると思います。 勘九郎:皆さんにはありがたい。ありがたいって。 七之助:そうですね。みんな皆さんにありがたいって言ってると思います。あとは内容ですよね。内容が良くなったらもうひとつ、二重丸が花丸ぐらいにはなるんじゃないかなと思います。だからもっと上を目指していきたいと思いますね。