【挑戦】女性初のF2戦闘機パイロット 過酷な訓練…日本の空を守る『every.特集』
■ブルーインパルスに憧れ…パイロットの道へ
厳しい訓練をこなす水越さんはフライトスーツを脱ぐと、その表情が一変。夫であり同じパイロットである涼太さんとやわらかな表情で食卓を囲みます。 ──仕事終わったと思うタイミングは? 水越美紗貴さん(27) 「帰ってきて、フライトスーツを脱いで、洗濯カゴにぶちこんだときですね」 水越さんは奈良県出身で、学生時代はバスケットボールに熱中。パイロットに興味をもったきっかけは、高校生のとき友人に見せてもらったブルーインパルスの動画でした。 「美しさと危険さ、相反するようなものが混在している状態にひかれて、パイロットになりたいと思った」と話す水越さん。大学卒業後、航空自衛隊に入隊。4年にわたる過酷な訓練や試験を乗り越え、F2戦闘機パイロットの道を切り開きました。 水越美紗貴さん(27) 「周りの人とは何か違うことをやってみたい、というところも一つあったような気がする。女性第1号を目指そうとF2にした」
■“隊員不足”自分が若い世代への道しるべに
「これ何だと思います?」 「ミサイル?」 「と思うやん。燃料タンク」 この日、基地に訪れていたインターンの高校生に説明していた水越さん。今、自衛隊では、少子化が進む中で、隊員不足が大きな課題に。 自衛官の定員は約24万7000人ですが、おととしの人数は22万7000人あまり。定員を約2万人下回っています。この基地では、月に2度ほど学生向けの見学会を行うなど、自衛隊の仕事を知ってもらうことに力を入れています。水越さんにとって、これも大事な仕事です。
「まず1機でもいいからすぐ見ること」。この日は戦闘機対戦闘機の空中戦の訓練。何度も入念に打ち合わせを行い、フライトへ。 水越さん 「ツー、ブラインド(味方が見えない)」 「スリーオクロックレベル(3時方向にいる)」 水越さん 「見えない…」 厚い雲に覆われ、周りの戦闘機を目視でとらえることができません。そんな環境下でも確かな技術と冷静な判断力が求められます。