「いったい何に似せたんだろう?」素朴なルアー“スピナー”はなぜ釣れる!? フィッシュイーターを魅了する秘密とは?
●キラメキと水の動きで魚を惹きつける
「いったい何に似せたんだろう?」と不思議になるような、ワイヤーとブレードを組み合わせたルアーのスピナー。 【画像】「えっ…」これがどんな魚にもアピールする不思議なスピナーです(20枚) 肉食魚のエサとなるどの生物にも似ていないのに、何故か釣れてしまうその秘密について、スピナーの名作「AR-S」の開発に関わったスミスの企画開発課・谷中洋一さんに話を聞きました。
VAGUE:小魚に似せたミノーや、ミミズそっくりのワームのように、ルアーはエサをイミテートします。ですが、何にも似ていないように見えるスピナーは、なぜ魚を惹きつけるのでしょうか? 谷中さん:ブレードが回転することで波動(水の流れ)と、フラッシングと呼ばれる光の明滅を生み、同時にボデイをユラユラと動かします。この3つのどれが重要なのかは定かではありませんが、確実に魚を惹きつけてくれます。 VAGUE:一般的なスピナーのブレードは金具でワイヤーに接続されますが、AR-Sはブレードとワイヤーがダイレクトにつながっています。 谷中さん:AR-S(エーアール・スピナー)の発案者は、日本のバスプロの草分けである本山博之氏。渓流釣りにも精通する彼はルアーに限らず、リールなどの金属パーツの“回転”にこだわりを持っていました。 スピナーのブレードに対するこだわりは異様なほど(笑)。開発の初期はスピナーを引くには浅すぎるような釣り場に一緒にでかけ、徹底的に回転にこだわってテストを重ねました。
VAGUE:素朴な見た目ですが、なかなか奥が深いんですね。 谷中さん:ルアーの実力は“いかに短い距離で機能を発揮できるか”で問われます。魚がヒットする範囲を“プロダクティブゾーン”と呼びますが、着水と同時にブレードの回転が立ち上がればゾーンが長くとれるのでチャンスが増えるんです。 それに低速から高速まで、スムースな回転性能を維持する必要があります。本山氏は、AR-Sに搭載したブレードの事を「Sブレード」と命名しましたが、その開発には10年以上の歳月が必要でした。