<三南プライド・’21センバツ>選手紹介/1 甲子園、亡き父と約束 小堂湧貴三塁手(2年) /静岡
阪神甲子園球場は父の俊樹さんとの思い出の場所だ。小さな頃、甲子園の近くの曽祖父母の家に行くと、2人で出かけて「センバツ」や「夏の甲子園」を観戦した。高校球児のはつらつとしたプレーが脳裏に焼き付き、ぼんやりと甲子園への憧れを抱くようになった。 小学2年のとき、地元のソフトボールのチームに入団。朝、登校の前に、自宅近くにある公園で、俊樹さんとピッチングの練習をすることが日課になった。「技術的なことで怒られることも結構あった」と言う。それでも、試合のあるときは必ず、グラウンドに足を運んでくれた。 俊樹さんに大腸がんが見つかったのは2014年、小学5年のときだった。この頃になると、甲子園は憧れから目標になっていた。「僕が甲子園に行くから、ちゃんと治して」。病気と闘う父親を励まし続けたが、がんは全身に転移。15年2月に俊樹さんは55歳の若さで亡くなった。 父親に約束した目標を達成するために練習を続け、三島南で「不動の4番」というポジションを得た。昨秋の公式試合はチーム最多の10打点。試合でよい結果が残せたときはいつも、父親のおかげだと自分に言い聞かせる。「センバツの出場も、お父さんのおかげだと思います」 試合時は「亡くなった父のためにプレーする」との思いでグラウンドに立つ。センバツでも主軸として、自身のバットでチームを勝利に導く覚悟だ。「得点圏打率には自信がある。チームのために活躍して、お父さんに喜んでもらいたい」と言葉に力を込めた。【深野麟之介】 ◇ 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連)に21世紀枠代表として出場する三島南の登録メンバー18人を紹介する。=つづく ……………………………………………………………………………………………………… 身長171センチ▽体重93キロ▽三塁手▽右投げ右打ち▽三島市立北中出身▽水泳も得意