官邸にドローン 盲点だった「空」の警備 法規制強化のきっかけに 警視庁150年139/150
厳重に警備される首相官邸の屋上で平成27年4月、落下した1機のドローンが見つかった。放射線を示すマークが貼られた容器が積まれ、機体周辺では微量ながらセシウムが検出された。 発見2日後、福井県在住の男が県警に出頭。警視庁が威力業務妨害容疑で逮捕した。「原発政策に不満があった」などとし、主張を訴える手段としてドローンを侵入させたと供述した。 男は「官邸サンタ」と名乗ってブログで事件の計画を公開しており、出頭直前にインターネット掲示板「2ちゃんねる」に書き込むなど、注目を集めようとしていた。4月9日、官邸にドローンを侵入させたほか、九州電力川内原発(鹿児島県)も狙っていたことがつづられていた。 事件は一般ユーザー向けが発売されるなど、ドローンの活用が広がっている矢先に起きた。これを機に政府はドローンの飛行禁止区域などを定める規制強化に着手。27年12月には人口密集地などの飛行を禁じる改正航空法、28年4月には皇居や国会議事堂などの重要施設上空を飛行禁止とする小型無人機等飛行禁止法が施行された。 ドローンの性能は日々進化し、攻撃の脅威は増している。警視庁は重要施設などを守るため、飛行するドローンを捕獲したり、電波を妨害したりするなど対策を進めている。(橋本昌宗)