神座に横綱も…クセが強すぎる「関西発祥ラーメン」チェーンが、倒産ラッシュのラーメン業界で支持を集める「納得の理由」
帝国データバンクは1月7日、2024年に発生した「ラーメン店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)件数が72件にのぼったと発表した。 【写真】ラーメン店の「ギャル店長」、ホットパンツ姿が可愛すぎた…! そんな厳しい環境にあるラーメン市場の中で、ひときわ勢力を伸ばしているのが、関西を地盤に全国展開を目指すチェーン店たち。彼らの強さとは何か。 前編記事『倒産ラッシュ「3割赤字」のラーメン業界のウラで、巨大外食チェーンによる「個人店駆逐」の勢いが止まらないワケ』に続き、詳しく見ていこう。
受け継がれる神座「秘伝のスープ」
「どうとんぼり神座」は、店舗数が92店舗のラーメンチェーンだ。大阪の道頓堀が発祥の地で、近畿圏69店舗、関東圏23店舗を出店しており、2店舗だが、ハワイにも海外出店している。また、今年3月に100店舗達成予定であり、 来年度は25店舗以上出店を計画しているという。 洋食出身の創業者が開発した今までの既成概念にとらわれない新たな発想のラーメンと店内の雰囲気で、従来のラーメン屋のイメージを塗り替えた店としても知られる。 同チェーンといえば、創業以来守り続けてきた秘伝のスープ。「スープソムリエ」という社内資格制度を設けており、高い技術を持ったソムリエだけが店舗でのスープづくりに携わることができる。門外不出のスープと永年受け継がれた秘伝のタレはオーナー一族の限られた人達で秘密情報として厳格に管理されているという。 30年前、筆者も道頓堀の1号店に行き、強烈なインパクトを受けたのを記憶している。道頓堀界隈では行列ができる店で話題となり、待ち時間1時間は当たり前、皆さん相当な覚悟で並んでいた。 店内は凹字のカウンター席だけで、カウンター内には洋食のコック服を着て、長いコック帽を被った調理人がラーメンを作っていた。洋食出身である社長のこだわりが店舗運営に反映されており、確かにそれまでのラーメン店のイメージを払拭しているように思えた。 看板メニューの「おいしいラーメン」自体も、白菜など野菜たっぷりの醤油スープで、あっさりした味付けだから、飽きずに毎日でも食べられるようなラーメンだった。商圏範囲が広く、且つ、人を吸引するパワーがある道頓堀で、しかもあっさり味だから来店頻度も高く、毎日長蛇の列ができているのも不思議ではない。 運営するのは株式会社理想実業で、どうとんぼり神座が中核ブランドであり、1975年11月に創業。1986年にどうとんぼり神座の大阪1号店「道頓堀店 神座」を開店。どうとんぼり神座、国内飲食事業、海外飲食事業、食品製造事業の4本柱で経営している。 連結売上高は128億円(2024年3月期)で、2025年3月期予測は148億円で、+16%増である。ちなみに2025年7月19日の39周年に向けて、1年を通して感謝還元企画を展開しており、約2.5万分の1の確率で「おいしいラーメン」が一生無料になる「神吉」が入った「かむくじ」を、今年1月1日より販売するなど話題性にも力を入れている。 2021年、創業者である布施正人氏から次男に事業承継した。その際、社風を一新させる為、新たな逸材も招聘し、組織と事業の再構築、及び、運営の自働化で経営をシステマチックに刷新した。 事業承継時、創業者である正人氏と後継者の真之介氏との間で、経営方針の違いから円滑な承継とはいかなかったようだが、今は経営の若返りを図りながら、事業体制を整備。そして、新社長のリーダーシップにより、積極的な事業展開を進めている。 「子供の貧困と飢餓の撲滅」を企業活動の目的にもしており、社会貢献への意識が高い企業でもある。因みに、テレビで紹介された回数ランキング4位とのことで、認知度も高い。また、およそ半数が女性客ということで、女性ファンが多い店である。