障害者がアート教室 認知症GHに出張(神奈川)
主に精神障害者が通う就労継続支援B型事業所「道工房」(岩立実勇代表、神奈川県鎌倉市)は、利用者が近隣の認知症高齢者グループホーム(GH)に定期的に出向き、アート教室を開いている。得意なことを生かして謝金が得られるとあって、利用者は達成感を味わっている。 訪問先は社会福祉法人伸こう福祉会(横浜市)が運営するGH3カ所。それぞれ毎月1回、利用者2~3人が訪れ、入居する高齢者と1時間ほど作品作りを楽しむ。 その一つ、クロスハート田谷・栄の10月のテーマは「フェルトを素材にしたバッグ作り」。ハサミで生地を切り取り、結んだり接着剤で貼り合わせたりして仕上げる。 訪れたのはデザイン学校出身の亀井茂さん、来年3月に東京・銀座で個展を開く古林こばやし菜緒未さん、高齢者のデイサービスで介護職に就いていた宮﨑貴子さんの3人。 色選びやハサミの使い方などでお年寄りとの会話が弾み、3人は「やっていて楽しい」「達成感がある」と口をそろえる。 GHの職員は「外から人が来てくれるといい刺激になり、入居者の表情は豊かになる」と評価。コロナ禍では控えざるを得なかったレクリエーションを充実させていきたいとしている。 ■対話で自信の回復へ 道工房はアートを通じて社会参加することを重視。「ほっこりアート」の商標で絵画の販売やレンタル、名刺やパンフレットのデザイン受注などを手掛け、その収益を利用者の工賃に充てる。 職員の採用基準は芸術系の学校の出身であることだ。事業所として独自の常設ギャラリーを構えて作品を展示するほか、鎌倉美術連盟に加盟するという徹底ぶりだ。 代表の岩立さんは「アートには正解がなく、作品が称賛されると自信を回復できる。自分の作品について人と話すことでコミュニケーション能力も高まる」とみている。