北九州市の「こどもまんなか」政策 子育て支援の拡充・子ども目線の試みも
テレQ(TVQ九州放送)
北九州市は1980年をピークに、人口の減少が続いています。中でも14歳以下は全体と比べて減少率が高く、人口に占める割合は50年で約半分に減っています。こうしたなか北九州市は子どもに関連する新たな政策を始めています。 北九州市 武内和久市長 「子どもや子ども子育て家庭を社会全体で応援する取り組みを全国に先駆けてスタートいたしました。その歩みを進めるために北九州こどもまん中アクションというのを行います」 社会で子育てを応援する取り組みのひとつとして、北九州市は2024年10月、従来の制度を強化しました。子どもの送迎や預かりを地域の人が手伝うファミリーサポート事業です。対象は生後3カ月から小学生まで。送迎や預かりをサポートする市民の登録者は725人、利用者と支援者の両方に登録する人を合わせると880人あまりです。 母親 「私は今育休をいただいているさなかなんですけど、本業に復帰する前に 自分自身のスキルを習得したいなって思っていて。そのインプットの勉強のためにと、この子をお預けさせていただけたらいいなって」 北九州市は2024年10月、1時間あたりの利用料金を800円から500円に引き下げました。一方で援助する市民の報酬は、1時間あたり800円から1000円に引き上げました。 育児支援者 「利用されるお母さん方は、やっぱり値段がちょっと安くなるのでいいかなと。私たちも市の方からいただけるので、そこは増えるので嬉しいですよね。お子さんの笑顔に癒されるところもあるので、お互いにいいんじゃないかなと」 預かる場所も住宅に加え、大学など4カ所の公共の場を新たに設けました。 母親 「見ず知らずの方に愛する子供を預けるのはすごく抵抗もあるんですけど、やっぱり役所の方がしっかりサポートに入ってくれてる事業だったので、もう心からもお願いしますって気持ちでいっぱいでした」 国が推し進める「こどもまんなか社会」。子育て支援に限らず、子どもの意見を反映することなども含まれます。北九州市の政策について、提言をしてきた専門家は。 西南女子学院大学 伊藤直子会長 「これからの社会を担う重要な子供たちでありますし、北九州以外の方たちもぜひそういう子育てを北九州でやってみたいと思えるような環境というところで、これからさらに力を入れて検討していきたい」 一方、子どもたちが住みたい街にしようという試みも始まっています。 小学生 「みんなで考えた提案は、全部で61件あります」 2024年10月、北九州市役所に市内11の小中高校に通う子どもたちが集まりました。武内市長も出席しています。市は、子どもの意見を市政に生かそうと2024年5月、みらい政策委員会を発足。各学校の生徒会などが中心となって、市長へ提言するため話し合いを続けてきました。この日はいよいよ発表です。 守恒中 「守恒中学校では、コンタクトの空ケースの回収、リサイクルを実施しています。全市的にはあまり普及していないと感じる」 コンタクトレンズの空きケースの回収とは。 コンタクトのアイシティecoプロジェクト担当 川田 沙央里さん 「使用する際に両目で1つずつ合計2個必ずこのプラスチックのケースが排出されます。これを店頭にある回収ボックスに入れてもらうだけでリサイクルができるというのがアイシティエコプロジェクトという取り組みです」 使い捨てのコンタクトレンズのケースは、リサイクル業者が粒状に加工し、自動車部品や文房具などに再利用されます。回収する量は全国で年間98トンにもなるそうです。武内市長は中学生に直接話を聞きました。 北九州市 武内和久市長 「(空ケースの回収は)どんなふうに活用されているのか私はあまりよく知らなかった」 守恒中の生徒 「リサイクルしてそこで得たお金を目の病気を治す団体に寄付したり、新しいプラスティック製品になったり使われます」 北九州市 武内和久市長 「それをもっと多くの市内に置いていこうということですね」 その他にも多くの提言が出されました。そして・・・ 北九州市 武内和久市長 「すぐに実現すると決めたものがあります。コンタクト空ケースリサイクルについて、北九州市役所と小倉南区役所に回収ボックスを設置します」 後日、生徒に話を聞くと・・ 守恒中の生徒 「こどもたちからできる取り組みをこうやって世界に広げていけることを誇りに思っています」 守恒中の生徒 「積極的に参加してくれる大人がたくさんいるので、協力的に参加してくれる北九州市が好きな街です」 子どもの提言が早速実現するものが、他にもあります。 戸畑区 森川洋一区長 「こちらは戸畑区役所の屋上ですが、もともとは市民が触れ合えるというコンセプトで作っていたが、なかなか市民に知られてなくて長居がしずらいということがあったが、今回小学生の提言を受けベンチを置いたりして市民が交流できる場所にしていきたい思っている」 2024年12月には、市民が参加してベンチを作るイベントを開く予定です。 北九州市 武内市長 「例えば給付を分厚くするとか、政策を打つとかなんかそういうことももちろん大事なんですが、もっと町全体が温かく、お子さんやお子さんを育む方々をこう、くるんでいくというか包んでいくという、この空気感も 作っていくいうことがもうとても大事だろうという風に思います」 少子高齢化が続く中、保護者の支援と並行して、子どもが住み続けたくなる街にする政策も欠かせません。
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